■ 比良・御殿山〜武奈ガ岳
・・・・2009年06月28日
2009.6.30

天気予報では、あまり芳しい山行きになりそうにも思えなかった朽木は明王谷、薄い雲からは青空も覗く中々の好天である。明王院前の駐車場にはまだ空きがあり、天気予報に騙された人々が多かったのだと早合点した。勿論、本隊であるバス組が後30分もすれば到着することを除いている。

歩き始めるとこれが、厳しい上にいつまでも続く九十九折れ。見上げても見上げても際限が無いほど続くように思われる。何を軟弱な、と言われることは承知であるが、3週連続で大峰を登った矜持も何も、滴る大汗と同時に杉の斜面に消えて行った。大汗ではあるが、高度を稼ぐと風が抜ける。これが気持ちが良く、ややもすると軟弱な本質が顔を覗かせ、足を引きずる。

冷たい氷水を飲みながら、微かに聞こえる人の声、それも大勢の元気な声。バスの本隊が追い上げてきたものか。ここで負けては名折れである。萎れがちな足腰に鞭打って、やっとこさ急斜面に取り付いた。と、上から妙齢、ではなかったが結構発育の良さそうな女性が一人、落伍したらしく、仲間は既に先を歩くそうである。

ヨレヨレの体で御殿山西尾根に乗り、ここからは夏道を避け尾根を選ぶ。いつまでもレースのような山歩きは本望ではない。ではないが、目の前で抜かれるのも癪である。尾根コースを歩く人は殆どいないのである。静かな尾根コースに入って小休止。と、夏道分岐に団体さんも到着、その賑やかなこと。よくみれば若い、男の子ばかりである。

暫く身体を冷やして尾根を行く。とかれらもまた腰を上げて夏道を進む。綺麗なブナの若葉の傍に、白とピンクのヤマボウシ。既にツツジの類は終わりを向かえ、僅かに、ヤマツツジと落下を待つだけのベニドウダンがあった。御殿山手前で夏道と合流、件の団体さんもやってきた。近くで聞くとこれは堪らなく煩い。

御殿山で小休止の彼らを残し、日差にむせ返る西南稜へと進む。露岩地帯は非常に暑い。潅木が風に靡く辺りはまた割合に涼しい。見事な、口の深谷源流からコヤマノタケへと続く森を見ながら高度を稼ぐと人と犬が一匹いる。両者とも今にも崩れそうな様子をして、特に犬の方は傍目にもバテがきているのが分かった。

目の前の小ピークの草原に座り込んだままにっこり。この天候に似つかわしい二人である。北側の山々は薄い雲間に埋没し、殆どなにも見ることが出来ない。琵琶湖もまた霞程は掛かってはいたが、それでも湖畔の色々は眺められる。武奈ガ岳の手前で、屈強そうな集団に出会った。第一に装備が目に入る。馴染んだ装備が物々しさを感じさせる。

ピークを踏んで、そのままコヤマノタケへ向かった。イブルキノコバ方面からは向かってくる人影が尽きない。コヤマノタケはブナの林の中である。ピーク付近の異形なブナ(枝分かれが凄い)を見て中峠へ。登ってくるご夫婦とすれ違った。奥さんの方は、疲れてか、機嫌が悪そうであった。

中峠から口の深谷源流に下降、途中、飲み水を確保し、谷川で顔を洗って暫しの休息。風が流れて涼しい。見上げた狭い空は真っ青で、流れる雲さえ見えない。ワサビ峠まで登り返し、むせ返る西南稜から御殿山へ。賑やかな声に振り返ると、男の子達の帰路に遭遇してしまった。再び静かな尾根道に入り、夏道出会い手前で小休止。樹間を流れる風は爽やかである。

恍惚としたまどろみを破るのは、やはり男の子達。そのやや前方には、白い身体を横たえる一人と一匹。完全にばててますねん。あきまへんわ、とご主人もバテ顔で笑っている。一行を残して、厳しい下りを黙々と耐え、一本つけている男性を追い抜いて明王院。あたりにガードマンが2〜3人。顔と靴を洗う間に居なくなった。


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