■ 台高・高見山
・・・・2014年07月13日
2014.7.13

雲の拡がる台高山脈、エアコンの壊れた車では、陽にあぶられるよりは望ましい。平野の登山口に着く頃には、狭い空を黒雲が覆い、落ちてきても不思議ではない。今日は地元の出会い仕事、集落の路道には茂る夏草を刈る方々が三々五々、完了間近で雨は気の毒だ。あと30分ほどもってくれたら此方も有り難い。

たかすみ温泉駐車場には予想以上の車があった。湯にはまだ早いので、そうなると登山か?、しかし中で寛ぐ人もいたり、よく分からん。が、隣では山の支度の女性もいて、夏場でも相応の人気とみた。昨年は真夏に杉谷から登った、山頂には20人ばかりの方々がおられたが、登り口では後から来たアベックだけであった。やはり冬の山だと思ったのは、どうやら早計であったと云わざるを得ない。

一歩歩き出したところで雨が来た。如何にしても早過ぎる雨、待ち構えたように降ってきた。それも中々に強い雨だ。登山口前には清掃作業の地元の方々、カミナリに気を付けてな!、と、やや強めの言葉を戴いた。

振り返ると、隣で支度中の女性二人組が続いている。実はこの時、アベックだとばかり思っていたのだが、近頃は男と女の分別が難しい、外見では間違う事も屡々ある。林に入って雨は大丈夫、気になっていたヤマビルは、清掃作業のお蔭で生息していない事が確認できた。後は汗をかくだけだ。

汗をかくには今日の湿度は誂えたようなもの、気温は24度程で無風の植林の谷底、忽ち顎から落ちた汗と雫で膝が濡れる。小峠コースを歩いた昨年は、高見山ごときは何時でも歩ける程度の山、と思っていたが、夏場に歩くとこれがそうでもない。

芦生あたりでは何処にでもあるのではないか、と思えるくらいの高見杉を過ぎ、かなりキツイ斜度が長々と続く。冬も歩いたが、気温が低い時期はけっこう元気が出るので参考にはならない。歩けども小峠出逢いはまだ先の事、斜度は更にキツくなった。心臓が痛いのでほんの少しだけザックを降ろして小休止、背中からの放熱は極めて効果がある。

薄日が差す様になってようやく小峠出逢い、そばにはカラフルなザック数個と男性が一人、ザックデポして山頂へアタック、マット携行であったから、二日がかりで北部台高縦走か、とこの時は思っていた。ここからがキツイ高見山、ここで2回目の小休止、高度差は凡そ150mくらいであった、と思っていたのが間違いで、恐らくは倍くらいはあっただろう。

歩く登山道の岩の上に、小さいギボウシの蕾が一輪、他には、枯葉の上に落ちた無数の白い花のヒメシャラ、ちょうど端境期に当たるようで、目を留める、と云うより苦しさを紛らすネタがないのだ。後続のアベック、この時はそう思っていた、は全く姿を見せないし、上からも誰も降りて来ない、と見上げた上方から、子供だけの集団が降りてきて、なる程ザックは彼らのか、後ろ姿を見送る間に、新たな子供の集団が現れ、これは途切れながらも次々と現れ、結局3〜40人程の子供と付添の大人が数名、お陰で気が紛れて助かった。

山頂が近づくに伴い風が強く、涼しくなった。次いでに、南の眺望が良さそうな何とか岩へ寄ってみた。確かに杉谷方面を見下す眺望の良い所だが、先客が日向ぼっこの最中だ。先客と云うのは、この高度では初めて見た、小さめの赤マムシである。鎌首をもたげる様な威嚇は無いので虐められてはいないようだが、見れば見るほど怖い顔である。どうやったらあれ程の敵意を形に出来るのか、世の中は摩訶不思議。

マムシはそっとしておいて山頂に向かった。避難小屋には7〜8人、あまり美しいとも思えない小屋に詰めなくても他にも少々は空きがある。山頂神社の横に、木陰になる座りの良い場所が残っていた。絞れば水の出る服も、風があれば乾くだろう。という訳で、後続の方々には申し訳ない場所を占拠してしまった。

この後、大峠方面から、若い男女7〜8人のパーティが着いた。彼らは小屋の上で食事を始めた。そこへ二人が着いて、よく見たら女性二人、確かに一人は男性に間違えそうな山ガールで、もうひとかたは、コロコロした体型の女性らしいわりにザックの大きな人であった。

彼らは落ち着き先を探してウロウロしたのか、陽射しのある小屋上に続く一角で食事に入った。小一時間もすると、服が概ね乾いてきた。周囲がほぼ全周見渡せる山頂だが、ガスに煙って、遠くは殆ど識別不能、ただ、東側は就中よく見えて、台高の国見山辺りまで見えていた。



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