国道にゲートが降りているのは、この時期であるからか、それとも三重県側の復旧工事が進んでいないからか、閉まったゲートの手前に車は7台ほど、迷惑になるとも思えないが、行儀よく、少し降った路肩に駐車。
今日は温かい晴天、と聞いていた通り陽射しは温かいが気温は4度とやや肌寒い。山肌には雪が目立ち、当然ながら下部は冷蔵庫と同じ原理だ。御池谷の入口は崩壊が進み、記憶とはどんどん変わってしまう。
雪の残る御池谷へ続く踏み跡は皆無、降りの踏み跡が3人分あった。今日のハイカーは全員、橋を渡って行ったらしい。未踏のコースも良かろうと、皆さんの踏み跡を追いかけてみた。暫く歩くと崩壊地が出てきて、一見、岩と杉の倒木により、通行不能に見え、山腹には巻いた様な踏み跡もある。倒木の間を縫って続く踏み跡も確りあった。
巻くほどの事も無い状況で、何故山腹に逃げたか?、早々と山道に逃げた可能性も考えつつ、然し確りした道は続き踏み跡もある。ところが、大きな砂防ダムが出てきて道が消えた、途端に踏み跡も見えない。何処に消えたか分からないが、右岸側なら登れる程度の斜面である。
額に汗して登りきったダムの上にも道らしいものはまるで無い。上に見える国道に逃げたか、左岸を攀じって鞍掛尾根を目指したか?。少し上を伺うと谷は狭まり遡上は難しい。左岸を登れば古い路がある筈だし、そのまま鞍掛尾根まで登っても良い。
適当な所から植林地を登ること30分、思った通り、路らしいものに行き当たり、これを辿ると鉄塔が一つ、更に詰めた処でトンネルからの路と出合った。ここからは知った路が続くだけ、少々遅くなったようでもあり、雪の急斜面を右に左に振りながら、陽の光の溢れる尾根に飛び出た。
何と暖かくて眩しい光景であろう!、ザックを下ろし、南側の窪地で小休止、目指す鈴北のピークは遥かの彼方に聳えている。右前方に、霞の掛かる中空に、随分高いあたりに霊仙山が聳えている。標高は鈴北の方が高い筈だが、立派な姿だ。
皆さんは、途中の尾根から登った筈で、そんな尾根は、一つだけ。雪庇の上を黙々と歩きながら、近くならない真白な鈴北を時々見上げる度に、今日は足がだるいな〜。
皆さんの辿った尾根道は容易に知れた、帰りに辿って見る事にして、時間は正午を過ぎた頃、雲が多くなり陽射しが減った、風は強くて、止まると寒い。そんな中でも囀るエナガ、呼応する人が珍しかったか、手の届く辺りへ見物に来た。
へばりながらも鈴北のピーク、広い御池に人気は無く、丸山辺りはまだ遠い。とても行ける時間でもなく、目指すのは、雪の間のフクジュソウ、そろそろ顔を出しても良い頃である。尾根の雪は多い上に、夜間の冷え込みを物語る、霧氷の名残も多くある。
風を避けたドリーネの中で軽い昼食、僅かな間に手が冷えた。ドリーネを、抜け出して向かったカレンフェルトの斜面あたり、僅かに覗く地面には、何処を探しても花は無い。出てきたばかりの花芽はごく小さく、それでも来週あたりは咲くだろうと思われる。
雪が融け、地表が広がればもっと咲くはず。今日は少しばかり早すぎた。早すぎる花を気にかける方は他にもおられる。何時の間に来られたか、溶け始めた表面の雪に、明瞭に残る足跡が一つ。
|