■ 京都西山・地蔵山
・・・・2014年03月09日
2014.3.9

遠くからでも、杉の林に載る多量の雪と、裸の林を白く染める霧氷が確認できた。今日も少なからぬ雪の散策、3月も半ばの降雪は、このところ、そう奇しくはない。日本百選、越畑の棚田では、早くも田畑の手入れが進んでいる。

屋根の側には溶け残る雪、フキノトウの小さな芽、春先の小さな花も咲き出したが、陽射しは春のものでも地上は未だ春とよべる程では無い。杖を突きながらでも、集落の細い道を歩くお年寄りの姿は、最も春めいた光景と云えるだろう。

山路に入ると雪は多くなった。崩壊地を拔ける辺りは、昨日からの入山者の数を数える事も可能だ。溶け方から見て、今日の先行者は1人だけ、芦見峠から地蔵山に続いている。峠辺りは陽当りも良く、溶けて流れる細い川、樹林帯に入ると、北斜面でもあって一面の銀世界、登山道を遮る枯れ木は、松である。

新雪の下に、硬く締まった雪があり、歩き易いのは人だけでは無い。リスとたぬきと、鹿だけはどうもそうでも無い、踏み跡は、硬い雪の下にも達していて、騒々しい足跡が斜面を横切る。冬枯れの林に掛かると、辺りは静まり返り、雑音がまるで無い。と、思ったその後に、何処かのスピーカーを通じて鳴り響く電話の着信音。

まさかここまで来て電話の呼び鈴が鳴るとは思わなかった。呼び鈴が止まると再び静謐が戻った。陽射しが有るので、温度計は6度でもそれ以上に温かい。枝先の霧氷はトゲトゲしさも消え、落ち着いた短い針を残している。これはこれで楽しめる。

ピーク直下の馬酔木の林は何時もながら歩き辛い。雪を大量に載せて倒れ掛かり、極狭い空間を進んで頭をゴツン。狭いながら誠に清楚な美しい空間があったりもする。ピークの反射板跡地に雪は僅か、殆ど溶けてしまったらしい。

西向き地蔵さんに来訪を伝え、肩の雪を払って、さて、おみ足を覆う雪まで取ったものか、暫く考えてその儘にした。足が隠れてある方が有り難かろう。夜な夜なの外出は、知られぬ方が良いのだ。

温かい、お地蔵さまの側を離れて三角点へ向かう道筋、思わず襟を締めるほど寒い。温度計は1度で、冷蔵庫より冷えている。三角点に雪は殆ど無い、ケルンに納められたお地蔵様の姿が無い。溶けて濡れた雪を払って探したが、それでも見つからない。西向き地蔵は足も有り散歩も出来る、シュワッチ地蔵はこの積雪では埋まってしまう。

何れ何処かで冬籠りであろう、またの再会を楽しみに、今日の捜索は打切りとした。南側斜面の雪は少なく、北斜面の美しさは既に無い。踏み跡も多く、流石に人気のコースである。ここまで出逢った人は皆無であったが、皆様朝が早いのだろうな〜。とうとうジープ道出合まで誰とも出会わない。

雪の残るジープ道は思いの外歩き易く、柔らかい雪のお陰で膝も痛めず、滑り止めにもなる。意気揚揚と下ル道下に蟠る数人の人影。この道は何処へ降るか?、地蔵山へはどう行くのか?、など聞かれ、地図もお持ちである。愛宕スキー場跡まで行かれた様で、地蔵山・芦見峠経由で帰る予定であったそうだ。

残念ながらもう時間が無い、それにしても不思議な一隊であった。どの様な関係だろう?、などと想いつつ、樒ヶ原の集落に下山した。集落の軒端に積もる雪、バケツの凍った水、ツクシが顔を出すのは未だ少し先の事だろう。途中で人慣れた鹿と出逢った。未だ2歳位の鹿であった。


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