■ 鈴鹿・水無山〜綿向山
・・・・2013年12月01日
2013.12.1

信号を曲がると、賑やかな三人の山ガールの先に、既に秋色から冬景色に代った山裾が拡がっていた。お山の中腹から上は、濃いガスが掛かって伺う事が出来ない。駐車場はほぼ満車で、些か遅い時間にも拘わらず、仕度が整い歩き始めるハイカーが後を絶たない。

件の山ガールは勿論の事、乗りつける車もまた同様である。流石に人気の山、この山のシーズンは始まったばかりだ。ご夫婦の消えた一般参詣道と別れ、今回も水無北尾根へ歩みを進め、少し登ったところで、地図を確かめるソロの男性とすれ違った。

気温は3度、ジグザグの道を登ると汗が噴出し、記憶では、そろそろ終わる筈の傾斜地が長々続く。どうも記憶は、楽なところばかりで当てにならない。苦しいところはわざとのように消えている。これは、苦行に耐える為の技だろうか?、それとも只のお馬鹿だろうか?。

やっと水平道らしい、滑り落ちたら只では済みそうにない山腹の巻道になったが、水平どころかかなりの斜度があった。新しいトラロープのサポートがあるとはいえ、心臓はレッドゾーンの回転数、息はゼーゼー汗は額を流れ眼に入り視界を遮る、眩暈も加わり、これは多少危ないのでは。

一枚脱いだ半袖の上着は、背中までぐっしょり濡れていた。巻道が終ると上の林道までの急勾配。厳しい〜途は続いていた。ソロの男性の姿は見えない。林道にたどり着いて大休止、する間にソロも到着、チラと地図を確かめて、尾根に続く途を登って行った。汗はなかったな〜。

尾根の途は、林道終点で出会う筈、林道終点まで先回りだ。林道終点は直ぐであった。近い筈だった登山道は厳しい〜斜面の上らしい、ここでもまた記憶が、、記憶のアホ〜〜。
指先程の木の根・灌木を頼みに僅かでも楽なコースをと、慎重に登ること20分あまり、冬枯れの明るい尾根が見えだした辺で登山道に出合った。

登山道に乗って暫く、このまま途を行くよりも、未踏の尾根から水無山を行く方が面白かろう。見上げたところ、先程より斜度は少ない。ただし途が無いところに不安はあるが、迷う様な処でもあるまい。

尾根までは同様に厳しかった、辿り着いた尾根芯には確かに踏み跡は無い。馬酔木の勢力範囲で歩き易くは無いが歩け無い程でも無い。南側には松もあって、林床の松葉で至って明るい。一旦降ると岩の多い尾根が現れ、登り返したブナの林を抜けた先に、人の姿があった。

あれ?、ソロの男性や!、や!,尾根に途はありませんよね!、大丈夫でしたか?、この通り!。なとと話す尾根が水無山北峰であった。地図を見ながら彼が云うし、山名プレートも確かにあった。聴けば、南に続く明るい細尾根の先に南峰があるらしい。

せっかくだから行きましょう!、と誘ってはみたが、付いて来る気配は全く無し。綺麗な尾根には小さなブナが多く、谷を隔てた先の、山腹の大崩壊地「文三ハゲ」の異様の上の、綿向山は秀逸であった。殊に、南側に延びる尾根はゆったりとして、いつの日か歩いてみたい。

南峰は北峰と同規模の小さな広場で、途は無いという看板の先に、明瞭な踏み跡が続いていた。峰の間の尾根は、特に西側の崩壊が酷く、何れの日か、仙鶏尾根の様に極細の険しい尾根に変わるだろうと思う。

北峰から肩まで降ると参詣道までの傾斜地が待っていた。残ったルートの斜度がまた応える。降りのハイカーがボチボチ現れる時間だ。出合の直ぐ下に、朝の三人の山ガが賑やかに登ってきたところだ。南西から吹き上げる風が冷たい。

やっとこさ祠の前に辿り着き、枯れ芝にザックを下ろすと良い匂いがする。隣の単独が炊く、グツグツ音を発する美味しそうなラーメンだ。約10メートル程距離を取り、パンを齧った。汗で濡れた背中に吹きつける風は冷たい。雨乞岳はガスの中、

恐らく零度近い気温だと思われ、早々に降った700メートル付近で5度であった。駐車地の前の川の水もまた、手が痛い程冷たかった。


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