■ 多紀アルプス・三嶽〜小金ケ岳
・・・・2013年11月24日
2013.11.24

… 車窓から見える山々は、ほぼ一緒の色、黄色よりやや茶色掛かった色に染まり、時に緑が残るのは、植林地の針葉樹くらい。北に移動しても変わりなく、寒気の到来が周到かつ一斉に訪れた様子がよく分かる。詳らかに見れば、北上するに伴い枯れて縮れた葉先のモミジ葉が多くなる。

火打岩の駐車地の気温は6度、たわわに実る柿は手付かず、鳥に啄まれた痕跡も少ない。綺麗な柿に、山の端を越えた陽射しが鮮やかで、ひとつ頂いて齧ってみようか。まてまて、姿形に騙されて、先週齧った口の中は、強烈な渋で涙が出たのだ。

豊頬の美柿は必ずしも甘くない。教訓である。それにしても、瑞々しい美柿の何と多い事か。残った葉は揺らともしない、丹波黒豆の茎を焼く白い煙が低く棚引く日であった。

尾根に取り付いて何時もながら苦しい、植林地の暗い森をようよう越えると人がいる。熱いね、などと云いながら休む、ハイキング風のアベックだ、これでは休む訳にもいかぬので、涙をこらえて尾根までたえた。顎からは、忍れど色に出にけり我が恋の如く、零れる汗をいかにとやせん。

で、肩で息をしながら汗を拭き、座る適当な椅子が無いので立ったまま小休止。あとから着いた件のアベック、座る事も出来ず盛んに暑い熱いと汗を拭く。先に発ったので、残ったお二人は安心して落葉の上に座った事だろう、長らく後方に気配は無かった。

そよ風も吹かず陽が射すと流石に暑い。一枚脱いだがそれでも暑い。この上は、ピーク途中の岩のテラスでゆっくりする事だ。いそいそと、汗を零しながらテラスの横、透けて見える、テラスに寛ぐ男性2人、賑やかなその声までも恨めしい。

已む無く次の岩場で小休止、小金ヶ岳との広い虚空に、やや小さめの猛禽、ハヤブサだと思う、が何回か上空を飛翔し、三嶽を越えて消えて行った。無人の小金ヶ岳の岩場を見ながら、おやつを頬張った時である。あ〜羽根があったら・・・。

鉄塔のあるピークは賑やかである。暫くすると、オオタワへの降りのハイカーが6・7人、お孫さん2人を連れた爺婆登山隊が登って行く。秋の三嶽は賑やかだ。オオタワから小金ヶ岳へ登る人も結構多い。

娘さんらしい女性を連れて降ってくる男性、前を行くジャージ姿の女性2人、高校生の様なそうでない様な、残念ながら年齢不詳。岩場では、やや肥満と云わなければ形容出来ないお爺お婆を引率する女性。

ピーク下の絶壁に立つ姿を見て、岩尾根に辿り着いたばかりの爺さん隊、喜びの余りに手を振ってきた。応えて手くらいは振ってやろう。岩場のバイカオウレンの葉は健在であった。ピークに登ると、思わず怪しい匂いに気付いた。何?,と見回した先の方位盤の上、辺に匂いを撒き散らす、サッポロ一番味噌ラーメンがあったのだ。

毒物は近付けぬが良い。周回コースへそそくさと避難、少し降った岩の上でパンを齧った。次回はラーメン持って来たる!。葉を落し、熟したカマツカの実は酸味があって美味である。


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