大風と大粒の雨、先週と同じだ。9月頃から週末の雨は約束事であったかのように付いてくる。車の中で雨宿り、出たくとも出られない程の荒れ模様。1時間もすると小雨に変わり、風も収まって静かになった。
天気予報もある事だし、なお暫く様子を伺う間に、北の空から明るくなった。これは幸い、天気予報には悪いが随分早い回復だ。外に出ると温かい、下着などを冬用に変えたとはいえ温か過ぎる、寒気は未だ到来していない。
でもまぁ、晴れてきたので今のうちに歩いてしまおう。行者山の登山口で、傘を持った下山者と出会った。風雨の割にはこざっぱりとして澄ましている、はて面妖な・・。行者山への階段を上りながら暑い事、忽ち汗は顔を流れ顎から落ちる。
今週はどうも体調が良くなかった。原因はこの汗か。最後の大岩の下で小休止、汗を拭く間にパラパラきた。これも先週に変らず。パラパラはやっぱりザーザーに変わる。ガスが出てきて辺りは霧の中。
流石に今日は人の気配が全く無い。ボチボチ歩いて六地蔵さんの前、屋根でもあればさぞ心丈夫な事だろう。紅葉で明るい月峯寺跡を眺めるに、些か惹かれるものがあった。ここに大伽藍を建てたその心持ちや如何。
未だに水の湧く井戸跡を見て、葉を落とし赤い実だけになった山グミを2つ3つ、甘くて美味しい。山頂に上がると何やら不気味な物がある。近付いてはじめて判別できた。黒めのカッパで全身を覆った、立ったまま小さい円陣を作ってカップ麺を啜る6人のハイカー。
風雨を避ける為とはいえ、何もそんな・・。雨の止む気配は全く無い、彼らの側を抜けて横尾山へのコースへ下る。風が強く当たる様になる。暫く下ると北への踏み跡と出会う。背の低い隈笹が林床を覆う綺麗な山がある。
傘では防ぎきれない雨になった。今更カッパもあるまいが、持っているだけ心強い。緩い下り途が暫く続き、登り返すと山名のある小ピークである。山名は忘れたが、松と笹が綺麗な緩やかな地形が続き、途は山腹を斜めに下って続いている。
あたりが随分暗くなった、夕方には未だ早い時刻、大雨が心配だ。縦走路に戻って考えた。横尾山はこの際パス、エスケープルートで林道におりよう。出合いは何処だ。
踏み跡は藪に埋もれて見えなかった。そうだろう古いテープがひとつあった。踏み込むと、暗くて殆ど見えない林床に、古い途跡が少しだけある。藪っぽくて傘は辛い。小さな谷川が集まる辺で踏み跡が消え、ウロウロすること数分、と見上げた先に路肩があった。
何時もは短い林道は、今日に限ってどうも長い。雨に濡れた道脇のすすき、重そうな頭を道の上に垂れ、抜けると傘の下は濡れるのである。 |