今日明日は嵐の予報。残念ではあるが、ヘリなどをお騒がせしては慙愧の至り、北摂の山々も新緑の季節ではあるし、野鳥の雛が飛び回る季節でもあり、野鳥観察としようではないか。向かったところは小和田山。ヤブが多く、萱など背の高い草もあるし巣材には事欠かない。
二股で車を止め、まずは真っ直ぐ登ってみよう。直ぐに、道横に食べ頃のモミジイチゴが沢山。あ〜そうだ、そろそろそんな季節であったのだ。黄色いイチゴを収穫しつつ、徐々に高度を上げる道を進むと、騒がしく飛び回るのはヒヨドリ。姿を見せずに大きな声を張り上げるウグイス。
ウグイスは一夫多妻と聞く。なるほど忙しいに違いない。昨年のカヤトが程よく残る低い松の斜面には、いつか見たシジュウガラの姿が無い。更に登るとエナガの団体さん、適当な距離を保ってささやきあう姿があった。この時期でも団体であるのだから、繁殖期はまた別だろうか。
人を怖がる様子も見せず、楽しげに梢を渡り、そのうちに声だけが木魂する。面白い鳴き声ではセンダイムシクイであろう。色々な鳴き声が松混じりのヤブから聞こえる。天気の所為か、なにしろ今にも落ちてきそうな空模様では、道の傍までは来てくれない。パラパラきては直ぐに上がるようになった。登山口の傍まで歩いたとき、潅木の梢で警戒音を発するシジュウカラがいる。
藪の中をきょろきょろしても、容易に巣の在り処は判らない。大きなムカデは鹿の足で穿たれた小さな凹みに姿を隠したきり、出てこようともしない。あまり長いはシジュウカラの大迷惑である。僅かばかり離れた時に、さっと姿が消えていった。今日は登山道に入らない。小指程もある毛虫が一杯いるのを知っている。鳥も食べない凶悪な奴であるから敬して近づかないのである。
であるから、登山口があるここが、今日の最高到達点である。ここから周回コースに入り下りとなる。ホオジロの声が多い。それでも声ばかりで手近なところにはやっぱり姿が見えない。ところがである、下り始めて間もなく、直ぐ傍の潅木から飛び立ったホオジロのメス。去った後を見ると好い加減なところに好い加減な巣があるではないか。あまり「好い加減」と云うとホオジロに抗議を受ける恐れもあるが、あえて印象を偽らずに漂白させて貰うのである。時間も有るし、再度最高点まで戻りつつ、恐るべき野鳥の手腕を発見した。
これは見せられても中々、了解出来るまでには沈思黙考の時間が必要である。潅木の中に再び警戒音が響く。どうもウグイスのものらしく、幼鳥の駆け回る姿も目撃できた。と思うと雨が来た。黄色い傘はそれほど驚かすものではないだろう、と勝手に思う。
車に戻ると日差しが戻り、暑さが戻った。とても暑い。帰りには大雨が約一時間ほど降った。あのホオジロは大丈夫だろうか。
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