■ 京都北山・芦生〜櫃倉谷
・・・・2013年07月21日
2013.7.21

沢装束も無ければ技量も無い、それでも熱帯の太陽は朝からギラギラ、せめて水に近い辺りでウロウロしたい。向かった先は、芦生は須後の駐車場。随分閑散とした光景かと思っていたが、相変わらずの人気である。

サクラの木陰の下は僅かに二台分の余地が残り、躊躇したちょっとの隙に中央は埋まった。一番端に割込ませて頂き、ふと見た2台程隣には常連さんの車があった。櫃倉谷への立入りには、2週間以上前に届けが必要とか。

天気も分からんでは難しい、今日のところは入山届のみで勘弁して貰おう。見えている範囲では、トロッコ道が人気のようだ。櫃倉方面に人影は無い。川面を渡り、吹き降ろす風は殊の外涼しい。この時期には花が無いのが残念だ。

咲き残るノリウツギの白い花くらいで、ナツエビネには早いみたいだが、そろそろ咲いてもおかしくは無い。内杉谷に別れ、砂利道の櫃倉林道に入り、川の水はやや少なく、流れる水に濁りがある。十分な降雨が無かった証左である。

約1時間で林道は終わり、谷川を行くか、流水に付かず離れず岸を行くか、実際、道は2つに別れるのだ。休息中に後方から男性2名、女性2名のパーティが到着した。彼らは水を行くらしい。川を徒渉、陽射しの中、左岸の高巻道を横山峠まで歩く。

どうにか格好は付いたかな?、峠の、風に震えるイワウチワのそばで、痛めた腰を伸ばしつつ汗を拭く。中のツボに降りて暫し小休止。水に浸した手の冷たさ、洗った顔の涼やかさは、得も言われぬ気持ち良さ。せめてもの負け惜しみである。

櫃倉谷に入って水は透明感を増し、冷たさは勿論の事であるが、肝心の渓相が冴えないのである。至るところ倒木があり、酷く荒れた谷に見える。倒木の多くはミズナラ若しくはミズナラの側にあった木である。ナラ枯れが収まり10数年は仕様が無い事だろう。

唯一の滝の高巻を終えたところにカメラマンがお二人、早朝の撮影を終えたところか。遠くでアカショウビンの囀りが聞こえる。そそり立つ両岸の陰になる広い谷中央は涼しい。巨木の谷に流れる水は僅か、いよいよ源頭に近づき最後のお勤め、杉尾坂峠までの急斜面である。

こんな無茶な急坂をなにゆえ正規の登山道としたのか今持って疑問であるが、他を見ても楽そうなコース取りが出来そうにないので、まずは登らねば。涼しい谷を離れ、厳しい陽射しに暖まった急坂を、杉の根草木を頼りに登る標高差150メートルほど。

汗は顔から腕から滴り上下の下着はぐしょ濡れで、林道に辿り着いて暫く、呼吸は整ったが食欲が無い。ここで秘蔵のビールをプシュー。空になった缶を見ながら眠いのなんの。ハンモックでもあったら確実に寝ていた。

杉尾坂は端折って林道を中のツボ線まで約1時間。美山町営のバスがお迎えに来た。乗るのは観光入山者のみ、羨ましい。だが、中のツボから尾根を降れば、内杉谷出合いまで約1時間で楽々降れる、筈であった。少なくとも嘗てはそうであったのだ。

林道終点から尾根に入ると荒れた藪が待っていた。道標は無く踏み跡も無く、おまけに地図もない。ここで役にたったのがスマホの山地図である。空は広く位置精度は誤差数メートル、地図のダウンロードは出来ないが、既に内臓したデータでも地形は分かる。

お陰で間違わずに出合いまで下降は出来たが、熱帯の、西日で暑い藪漕ぎで、予定の倍の2時間を費やし、流した汗もまた倍であった。もうこのルートは止めにしよう。


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