陽射しのほとんど無い空から小さな雨粒が風に乗って流れてくる。不動滝の水量はやや多目で、やっと梅雨らしい季節になって来た。
木梶山のてっぺんは霧に隠れて見えない。林道の途中に軽トラが1台、作業か遊びか姿は無い。道の端に丸まったマムシがいた。大分慣れたようでも爬虫類はやっぱり苦手、長いものを見ると跳び上がるほど驚く。
岩影の棚に見慣れぬ花がある。インターネットで調べるとイチヤクソウと云うらしい。初めて見る花なので写真を撮った。少し歩いた藪の中に、ここ数年見なかったササユリがあった。霧雨に濡れた立姿は流石に美しい。
滝前の駐車地に四駆が1台、今日はこれで全員である。木原谷を詰める踏み跡は、昨年より濃くなった。ここらもブームに遅れず、おじ様おば様登山隊で賑わうのだろう。
杉の林は面白く無いが、微妙なところで自然林を残している。ここから尾根までは葉叢の中を歩く。何も生えない林床に鹿の足跡だけが残っている。
やや水の多い沢は折れた木々で歩き辛い。歩き辛いが登山靴で歩ける沢はこの程度であるから、沢やさんの真似をして谷を詰める。ところどころ沢に面して枝を広げるブナの下は夥しい粃(しいな。中身の無い殻)で埋め尽くされている。
今年は何処の山も豊作だ。最近は増加傾向だと云う台高のクマもこれでこの秋の食料には困るまい。直ぐ目の前が尾根だと云うのにまだ水流がある。僅かな間に湧水がしみだし水量が増える。これは表面に降った雨だろうから、表層には相当の水の貯蔵があるのだろう。
尾根に上がると馬駈辻、桧塚は雲に隠れ雨模様、明神平には陽射しもある。台高の東は雨、西は曇りがちながら青空もあった。大雨になる前に戻るべく、赤ゾレの池の側で昼食タイム、陽射しが戻ると羽虫が凄い。
早々に切り上げ赤ゾレに向かう。赤トンボはいるのだが数が少ない。も少し増えて貰わないと護衛にはならない。東尾根から降りに入って直ぐ、葉を打つ雨粒の音が強くなった。林床まで届かない間に林道に降りたい。
黄色い登山道の標識のある踏み跡に、ヒメシャラの落下が続く。林道に降りると本格的な雨である。風が弱いので傘が有効だ。軽トラの影からヘルメットを被った自称釣り師、ヘルメットにカメラを付けて動画を撮ったよし、楽しそうに語るのである。
軽トラが去った後の林道に人は無い、小康の雨がまた少し勢いをました。人の気配の去った旧道をパトロールするミニパト1台。高見トンネルを抜けた東吉野の郷では雨は無かった。 |