予報では、昼ごろから雨がくると云い、雲の多い空からは陽射しも少なく気温も低い。やや強い風には湿り気も感じられ、植えたばかりの田圃ではアマガエルが啼く。
火打岩の県道脇の竹藪には、大きく育ったタケノコが頭をもたげ、世の中のざわめきに、調子を合わせた様にも見える。民家の脇を抜けた辺りの耕作放棄地に咲く名も知らない草花。
杉の林に続く登山道の踏み跡の多さには驚いた。恐るべきクリンソウ人気か、若しくは恐るべき老人パワーか。登り初めて直ぐ、下ってきたのは長靴スタイルのお爺さん。
かなりきつい傾斜の道を、上り詰めた旧道出合いに妙齢のご婦人二人と男性一人。木のストックをもって随分余裕だ。風に吹かれて汗を乾かす側を休みなく進んで行かれる。
散歩のような歩みであるが間違いわ無さそうだ。が、昼ごろからの雨は気になる。男性の背中にのみあるザックは装備の不足を物語っているだろう。後を追って数分で追い付き追い越し、感嘆の声を頂いた。
上り調子の緩い傾斜の山道を行くとクリンソウ群生地への新しい道が谷底の湿地に続いている。降りたところにかつてあった白菜に似たクリンソウの姿が無い。
なるほど更に進み、少し谷を詰めた辺りに群生するクリンソウは元気である。が、入口のものは完全に姿を消した。谷を多少開いた事で、彼らの生息環境に影響したとしたら問題だ。
谷底ではカメラを据えた二組のアベック。古い五輪塔が2基、他にも塔の残骸を集めた石の塔があった。山岳信仰盛んな時代の名残りだろうか。光の乏しい、風にそよぐクリンソウの撮影は難しかった。
最上流部から登山道に戻り、賑やかな女性3人組を追い越して、頂上下の岩のテラスで一服。頂上を目指す間にも下ってくるハイカーの多いこと。ピークは大変な賑わい様で、腰を降ろす隙も無い。
これ全てクリンソウがもたらした喧騒であるとしたら、生息環境の保全こそは篠山市観光課の大使命である。おおたわからの道は広く埃っぽい。人の多さの証明だ。
おおたわに着くと同時に雨が来た。小金が岳をとばして下る林道に車が少ない。かなり強い雨の中を30分,駐車地の車は以外なほど多く、加えて2台の篠山観光バスがあった。
皆さんはこの雨の中、まだ山の中である。
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