■ 京都西山・地蔵山〜竜ヶ岳
・・・・2013年05月06日
2013.5.6

二日ほど前の山陰は、雨で気温も低く、多くの家ではまだコタツのお世話になっていた。それでもワラビや蕗は季節に遅れまいとしてそれなりに成長していた。思い出してみると、大分以前はあの程度の気温であったような気もする。

今日はまた近年の日本の5月である。風にも温かさがあり、人の活動にもゆとりが感じられる。連休最後の日とあってか、越畑の彼方此方に人影がある。用意する間に、二人のハイカーが降りてきて、消えて行った。

芦見峠の樹木にもやっとひらいた葉がある。まだ僅かだがイワヒメワラビの新芽も顔を出した。しかしこれは食用では無い。急斜面に広がる落葉樹の林にも葉がある。まだ透かして青空が見えるほどで、新緑は1週間程先だろう。

林床にピンクの花びらがポツポツ。西向地蔵さんの前では片手に余る程で、ここ数年では2週間ばかり遅い事になる。反射板跡から滝谷に降った。谷川の流れにヤマザクラの花びらを散らせ、高い梢で、盛んにオオルリが鳴く。近頃よく踏まれたように見える滝谷の流れの傍で、今年初めてジュウイチの声を聞いた。

上手に鳴ける個体もあれば、出だしからジジジジーで終わる、気の短い奴もいる。竜ヶ岳から賑やかな声が聞こえる。木陰で休む間にも近付いてきて、腰を上げる頃に中学生らしい1団が降ってきた。しんがりは先生。1人ずつ「こんにちは」と云うので、面倒くさいが全員に返事した。

中学生の去った竜ヶ岳ピークは森と静まり返り、ミツバツツジに彩られた窓から京都市内が霞んでいた。せっかくなのでここでも暫し休息。下りは竜ヶ岳西尾根で一気に滝谷出合いまで降る。

歩き初めてふと気が付いた。新しい踏み跡がある。珍しい事もあるものと、踏み跡を辿って降ると人がいる。それも登りだ。話を聞くと、この先の崖で引き返したと云う。奥様は、降った事有りますか?、と聞く。

もちろん、有ります、とは答えたが、そんな降れないような崖は記憶に無い。もしや崩れでもして崖が出来たか?、一緒にとは云えないまま一人で降った。山頂では開かないシャクナゲは、降るに伴い開花した個体もある。

随分下まで踏み跡はあって、ここを降れば残り僅かといった地点で引き返している。記憶の通り5メートルばかりの崖があった。細尾根の事で、高さより高度感がある。なる程、とは思ったが既に遅い。木の根を頼りに降りるとあとは芦見川まで直ぐである。

登山道を降り芦見川を降るより小一時間程早かろう。顔を洗って林道の崩壊地を訪ねると、例年通り満開のイチリンソウが数株。一人下る林道に、太いツツドリの鳴き声が響く。


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