■ 京都西山・越畑〜地蔵山
・・・・2013年04月21日
2013.4.21

.. そろそろ山の木々も葉叢を宿せる時期だろうかと思っていた矢先の寒さ、わざわざ行き先を変更しての越畑ではあるが、時折小雨の落ちる肌寒い日である。

駐車地の前にはお爺さんハンターが数人、数台の軽トラ等に分乗し、いざ出撃の様子である。冷たい風の中でも進む農作業、時期を考慮に入れると害獣駆除に間違いない。

芦見峠に続く道脇には、芽吹いたばかりのタカノツメやコシアブラに加え、ミツバツツジが盛りである。この1週間ほどは暖かであったが、植物の成長はやや遅いのか、峠あたりの木々には葉がない。

気温は3度、加えて強風が吹き荒れるので、体感としては真冬である。地蔵山への登り路で、連続する鉄砲の音が響き渡る。数分おいて、さらに続いて鉄砲の音。こりゃ〜失敗だったかな。

新芽を探しに来ているので、馬酔木ばかりの登山では目的を達し得ない。ルートを離れて芽吹きの様子を観察するに、殆どの樹木が1週間ほど先になるようだ。

その中で咲く山桜、僅かに伸びた瑞々しい茶色の葉は桜餅を想わせる。ルートに戻りピークを目指す足元に、シッカリ閉じた春先の花。今に花園が出来るだろうと期待していた斜面に、僅かに葉を見せるだけである。

時々パラパラ落ちてくるのは粉雪である。行く雲の流れは早く、千切れた雲の隙間から陽射しがさす時もある。平野部の上空には青空も覗くようだ。ガスが流れる西向地蔵さんの前にも閉じた花。

ピーク・ケルンのジュワッチ地蔵さんも健在であった。前回安置させて頂いた石の間よりもっと良い場所を貰っている。皆さんに可愛がられている様子。姿は仏様らしく無いのだが、佇むのは蓮の台座で在ってみれば、やはり仏様が至当である。

ここから一旦下り登り返して反射板跡地である。跡地と云っても使われ無くなっただけで、反射板自体は風雪に耐えつつ残っている。馬酔木の隙間から覗く反射板の上に、徐に現れた黒い物体。え?、何?,黒い物体はまたゆっくり姿を消して、今は反射板だけが見えている。

熊?、登り返す途中、基部のあたりで蠢くやはり黒い影があった。してみれば幻では無い。ガスに覆われていた山は暗かった筈、熊がいたとしても不思議では無い。恐る恐る踏み込んだ反射板、熊はおろか人っ子ひとり居ないのである。地に残る足跡も無く、周囲に何の気配も無い。

見上げた反射板は5メートルはゆうにあり、風の強いこんな日に人が登るとも思えず、人ならそんなに慌てて消える必要も無く、黒装束で山歩きもあるまい。であればやはり熊だろうか?、その方が面白いのでそう考える事にしよう。

スキー場跡から、これ以上の急傾斜は無いだろうジープ道を降った。相変わらず雪がちらつき、尾根を抜ける風は轟々鳴り止まず、北の空に起こった何やら怪しい黒雲は、近付くと同時に大雨を連れてきた。

上手いことに、丁度車に戻ったところで、濡れるような事は無かったのだが、野良で苗代造りに励む皆さんにはお気の毒であった。


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