■ 大峰・柏木〜伯母谷
・・・・2012年12月16日
2012.12.16

昨年に続き、今年も師走の伯母谷参りとなったのは単なる偶然ともいえない。天候が悪いと自ずと行き先が限られる。そろそろそのの兆候が表れてきた印である。

昨日からの温かさで気温は9度もあり、その上青空でも覗いてくれたら申し分がない。とはいえ風は相当に強く、気温の低い上の方ではこれが応えてくるのは間違いない。

柏木から先ずは緩やかに始まった登山道、大迫出合いを過ぎると厳しい斜面が続くのである。ここを過ぎたら上谷出会い、と目標にした明るい尾根は夢幻の如くに霧散して、応えた心身に最後のボディーブロー。

いやいや登った上谷出会い、佇む小さなお地蔵さんは雪こそ降っていないのだが、飛ばされた建屋もそのままの、何やら寂しいお姿であった。どなたか保全して貰えないものか...。

尾根にでると北西の風が痛い。たちまち汗で濡れた身体は冷え、とても休息どころではない。多少緩くはなったが厳しい上りが続き、天竺平はまだかいな。そもそもこの尾根の名前すら知らないのだ。伯母谷を望む断崖絶壁があるので伯母谷コースと云ってはいるが、途中の地名といえば天竺平のみである。

天竺平の先からは歩き易い道になる。もっとも青空さえ見えだした回復基調の天候も、西側斜面ではその恩恵はまるで無く、愈々冷たくなった風が吹きすさぶ。冷える体に先のボディーブローが効いてくる。乳酸の溜まった体は鉛のような重量がある。

尾根心から、岩のゴロゴロする西側斜面を巻くようになり雪が出だした。雪の上にこの一週間のものだと思われる足跡がある。雪に伴いワカンを装着したらしい痕跡も。覗きのある岩の大地が近づくに連れ、登山道を覆う雪は深くなる。

残り1K弱となった辺りでワカンの主は引き返している。谷への滑落を懸念したらしい。今日の処は気を付けて歩く限りは滑落の恐れは無さそうだ。仮に墜ちても痛いくらいで終わるだろう。

同じくらいに慎重に雪上を歩く足跡がある。人の手の様な跡でそれも一匹だけ。恐らくはサルのものであろうが、こんな深山幽谷に来る季節でもなし。全て凍り付く季節ももう間近である。

覗きの大地の真下まで来た。時間的な余裕は少ない。大岩が転がる谷川の上は、陽射しもある緩やかな林である。ではあるが、転がる岩の半分を隠す嫌らしい雪。踏み外して岩と勝負しても勝てる見込みはまるで無い。

ここは自粛、大地の手前で今日の日程を完了した。休みも無くきたので腰も痛い。ザックを下ろして冷たい風の吹く暗い岩場でジャムパンを齧った。離れザルでもいようものなら、囓りかけのパン半分はやったものを。


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