■ 大峰・熊渡〜日裏山
・・・・2012年11月24日
2012.11.25

すっかり怠け者を決め込んで、なかなか大峰には足を向けなかった。あと半月で道路は通行止めになる。その前に義務を果たすべく、あと一台の余地を残した熊渡の駐車地に着いた。

大方は12月末まで続く釣りの方々の車で、お山に登るような危篤な方はあるまいと思っていた。陽はまだ射さず、葉を落とした荒涼とした光景である。

林道には大量の落ち葉が敷き詰められ、それでもやはり、角のある石だらけの道は歩き辛い。けたたましい叫び声に振り返ると、裸の林の中に猿の群れがある。

ボス猿に追われた哀れな猿は、細い木の枝を頼りに崩壊地に身を投げ出したところだ。落ちた、と思った直後に下の、やはり細い木にしがみついて無事であった。

大きな声で群れを威嚇すると、何度目かで喧騒はすっかり静まり返り、ボス猿の怒りも納まった様に見えた。追われた猿も群れに帰り、スゴスゴと崩壊地を離れていく。

林道終点で小休止、単独男性が1人、弥山川コースに消えて行く。この時間であるから泊りに違いない。腰を挙げて見上げたカナビキ尾根の杉の林、そこの暗い林床を行きつ戻りつ高度を稼ぐのだ。

行きつ戻りつはやっぱり面白くない。面白くは無いが、2度程度の気温だとかなり楽で有る事は間違いない。小鳥もまだ残っていて、シジュウカラなどの姿が小枝の先でチラチラする。

ブナや巨大なミズナラが現れると同時に陽射しがあって、そこだけ温かい。葉を落とした枝の先には昨日の雨の雫の氷が光る。1500m尾根への急斜面、しらがネギは出来て無いので寒さはそれ程でも無いようだが、ズルズル滑ってこれが辛い。

もとより道などは無かったので、来年はもっとましなルート取りをしてみよう。尾根には冷たい風もなく、久しぶりの青空で、苔の上で一服入れる間もまずまず温かい。

川合ルートには二つの踏み跡がある。ここから更に登りが続き、実はここが一番応えるところだ。左斜面には僅かな植林地があり、切れる辺りから、稲村ガ岳と犬歯のような大日山、ほんとに珍しい事に青空の中に聳えていた。

頂仙岳を巻くようになって針葉樹の森に変わり大峰らしくなる。いつものように荒野辻の左の斜面に篠原集落の屋根を見て、愈々目的地である日裏山である。

日裏山の林の中には陽射しがない。山全体がスッポリガスに覆われて、中では雪がチラついている。小一時間ばかりの間に身体が冷えた。気温は零下に違いない。

泊まり装備を持たない者には辛い季節だ、直ぐに下山でも暗くなる頃になる。下り初めて、大きなザックの単独者二人とあった。最後には、ワカン装備の二人組、アイゼンなら頷けなくもないのだが、なんぼ何でもワカンは早い。

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