■ 京都北山・久多〜三国岳
・・・・2012年11月18日
2012.11.18

思わぬアクシデントで10時を回る時刻に府大小屋前の駐車地に到着した。駐車地は雨の中で静まり返り、初冬の様子である。

2台も停めると一杯の駐車地ではあるが、遅れてくる人も有ろうかと、もう1台のために出来るだけ空けたつもりだ。

例年この時期にこのルートでお会いする人がいる。岩屋谷の水は折からの雨を集めて勢いがある。歩き初めて直ぐに雨は霙に変わった。

来られるかどうだか、その方はけして早くはないのだが堅実に登られる。途中でへばる様なものは先に歩いても抜かれよう。ハシゴを登るような斜度のあるルートで、達人でさえお好きでは無いと云うルートだ。

春頃には、そんなルートをオジサンオバサンパーティが元気に登る。何処からそんな元気が出るのか摩訶不思議である。落葉の森は、たとえ空が真っ黒でも明るい。

雨と霙に濡れて一週間たったあとの落葉は、流石に太陽が一杯とは言い難く、僅かな平坦地を染めたコミネカエデの葉も色を失って土色に変わった。

数十メートルの平坦地を過ぎると再び崖に懸けたハシゴの如き斜度が始まる。尾根が見え始めてからの長く厳しい道のり。何気なく振り向くと、傘をさし静かに着実に登ってくる男性が1人。やっぱり来られた。

ここで遅れを取るのは如何にも無念、悲鳴をあげる心臓を騙しつつ、息も絶え絶えで尾根に着いた。幾らか距離も開いたようで、到着を待って久しぶりの挨拶。941西尾根に行くと云うのでこれを見送り、南に歩いて三ボケに降りた。

濡れた落ち葉と濡れて隠れた木の枝の急斜面はよく滑る。谷底である三ボケの水はやっぱり多くて、登山靴でも長く水に浸かっていたら沁みてきた。

上り降りを繰り返す間に、多量の乳酸が溜まってきたようだ。尾根に登ったが最後、再び谷に降りる勇気が出ない。これを最後に来た道を引き返す。崖を下るのもまた一苦労、間違えるとコロコロ転がリそうな道に雨が降る。暗くなり始めた駐車地に車が2台、彼はまだ戻っていない。


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