■ 京都北山・鎌倉山
・・・・2012年11月11日
2012.11.11

花折れトンネルを抜けると、真っ黒な空が如何にも覆いかぶさったように深くて暗い谷があった。

まだ雨は来ていないのだが時間の問題であることは分かっている。少年自然の家の駐車場には数台の車があった。支度をする間にパラパラ落ちてきた。

雨具装着ではあるし、それほどのことも無く過ぎ去る場合もあるだろう。鎌倉山登山口から直ぐに厳しい登りが始まるので、アイドリングなどは何処にも無い。

登山道の上には黄色く熟れた松の葉が敷き詰められ、天気ほどには暗くない。何処かで鹿がピーと泣いた。鹿に教えられて笛を吹いた。

暗い森にはクマが出没する事がある。驚くような出合いは双方望むところではない。山鳴りがいよいよ激しくなってゆく。

ブナ平への道は赤や黄色い葉が織り成す錦の道であった。雨風が激しくなって空は更に昏いのだが、地は明るくて陽射しを感じる。

葉が疎らになったブナ平を、台風並みの風が抜ける。回るように真横から叩きつける雨と雫は想定外だ。上半身は汗と蒸気、下半身は雨とあっては装備も心許ない。

植林帯に入ると幾分増しにはなるのだが、薄気味の悪さも伴うのである。自然林と植林帯が何度か交互に現れて、最後に二次林の尾根の林を上り詰めて鎌倉山である。

迂闊な処を歩くと飛んで来た枯れ枝で怪我をする事もある。露出した手の感覚が失われてゆく。下りに入って風雨共に愈々増してくるばかり。

それでも地に目を落とすと、眩い程の色彩がある。今日は空は林床にあった。


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