■ 伯耆大山・鳥越峠〜キリン峠
・・・・2012年10月06日
2012.10.8

西日本最大だと云うブナの森、葉はまだ緑色で紅葉には早い。中には太いブナも混じってはいるのだが、多くは樹齢100年程度にしか見えない。

100年前の大災害の話は聞いたことがないので、人のなせる技かこのサイクルが標準なのか。水の無い沢に沿った登山道にも出水の跡が残っている。

文殊越え出会いからは巨大なブナの森となり、見覚えのある大きな倒木も朽ち果てる事なく変わらずにある。

倒木からは、これも大きなツキヨタケ が多量に生え、あってもらいたいキノコの影は無い。随分後ろから賑やかな声が木霊する。道は曲折があるので、実際の距離は随分少ない。

人影のない事に安心して迂闊な事を喋ると、直ぐそばの木陰から人が出てきたりして顔を染める様な事もある。烏ヶ山が見え出すと直ぐに急斜面が始まる。

木のトンネルを、喘ぎあえぎ登ると鳥越峠である。やや強めの風が抜ける峠のすぐ上空を、かなりの速度で鳥が超えて行く。ザックを下ろして倒木の端に腰かけると、烏ガ山へ続くルートを覆う、色付いた山ブドウ葉が心地よく揺れる。

地獄谷方面からソロの男性が一人、声を響かせていた後続3名のパーティーが相次いで到着。狭い峠は一杯になった。ソロの男性はキノコ採り、3名の方々はキリン峠へ行かれるそうだ。

厳しい急斜面でも賑やかな声が出ていたのだから、3名(オッチャンと可愛いおばちゃん二人)の方々の体力は相当なものである。暫く話し込んでまず3人が出発、その後ソロの男性に断って一服タイム。

距離が空いただろう時間をおいて、ソロの男性に見送られてキリン峠へ向かった。潅木の茂る細尾根の藪漕ぎ、石のゴロゴロするトンネルを抜けると目の前にキリン沢を隔てて大山東壁が広がる。激しい侵食の跡が寧ろ軽薄な様にも見え、草の一株だに見られない荒涼とした光景だ。

細いノコギリ状の尾根を歩くものがあるとすれば、天狗の類以外にあり得ない。ピークに立つと、大山東壁から烏ヶ山、環状道路の走る山裾が一望のもとにある。先程のパーティーの色鮮やかな衣服が潅木の間に見え隠れする。東壁の、草付き最上部に人の影が二つ、少し上部に槍ガ峰を示すポールが見える。

一旦下ってキリン峠、潅木に代わり、草付きの主役は涸れて茶色く変色したギボウシである。ギボウシの斜面を上り詰め、先に行かせて貰って草付き最上部。これから先を行く技量も度胸も無い。キリン沢へ落ち込む崩壊斜面を覗き込んだだけで目眩がする。

ここに集った皆さんは全員ここまでで、各自草の上に弁当を広げ、峠より幾分冷え込む中一枚着込んで急斜面から下界の様子を覗いたのである。



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