■ 京都北山・久多滝谷〜天狗峠
・・・・2012年09月09日
2012.9.9

滝谷はもはやヤマビルの巣窟となった。といっても、歩き初めの杉林に続く踏み跡あたりを根城にしていて、ごく小さな奴が、近づく登山者の靴にしがみつくのである。

実態から云えば、ごく僅かな被害さえも無かったのである。寧ろ、今年最後の釣果を争う太公望には影響を与えたかも知れない。

何度か渡渉を繰り返すとヤマビルの影も無くなり、馬尾の滝あたりまで来ると、全くのところ何の心理的被害も残さない。

かなり高度感のある高巻きを経て、滝谷の細い二股の谷出合、ヒルに追いまくられた結果、ここまでは順調過ぎた。

いつものペースに戻すべく、出合の河原でゆっくり涼を取る。腰掛けた石の右から伸びた小枝の先に、小さな緑色のクモが巣食っていた。

蜘蛛の巣の様なものはなく、ただ枝先の窪みを根城にしているらしい。見ていると、ナツアカネが来て止まった。目と鼻の先の事で、捕食する相手にしては大き過ぎ、逆に食べられやしないかと心配になる。

というのも、彼の背中の斑点が、妙に人の顔に見えだしたからである。人面蜘蛛と云うのは聞いたことが無い。見れば見るほど人の顔らしい。

蜘蛛が根城にしているのは恐らく栃の木であろうと思う。背後には沢山の実を付けた栃があり、その根の一部は水にさらされて流れの中にある。

あまり芳しい天気とはいえないが谷の中は暑い。林床は黒く濡れているにも関わらず谷の水は少ない。谷の遡行には有難いのだが、尾根ではどうだろう。

古い杣道だという酷い潅木の急傾斜を攀じって尾根に出た。風が無くてやはり暑い。少し北に移動して天狗峠。杉の巨木下を縫って天狗岳。お二人の先行者と出会った。

ここから南に下りP927から谷を下って滝谷を周回。僅かに覗いた東の空が黒い。気温は高かったし湿度も高い。ヒルをやる気にさせる条件は揃っている。

谷川から杉林に入ろうとした瞬間、体をくねらせた彼らがいた。慌てて川に避難、川を下って林道に出た。獲物の気配を知りつつ川に逃した彼らの悔しさは如何ほどであった事だろう。彼らの対抗策が恐ろしい。

蜘蛛の絵を拡大して笑いなされ。


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