お盆の故か単に休みの故か道路に車が溢れて移動がままならない。いつもの事でもあるのだが不自由なものだ。このような場合は近場の森を散策しよう。早朝に降った雨がまだ葉の上で丸まって、高からぬ気温の中でも気持ちが悪い。
尾根取りつきまでの小さな流れにサンショウウオの姿を探した。おりよく出会えたら記念に一枚撮っておきたかったのだが、冷たい流れのどこにも姿がない。ぐずぐず登り始めて鉄塔の下、風が出てきて思わず長居をしてしまった。
尻を叩いたのは下から聞こえる鈴の音である。止む無く暗い関電巡視路を上る。辺りの藪に盛んに鳥の囀りが起こるのは、そのあたりの環境が鳥の生態に合っているのだろうか。尾根手前のピークに着いた。
後続の鈴の音も今は止み、どうやら鉄塔の下で寛いでいるものと思われる。ガサガサ枯葉を鳴らすものがある。見ると普通サイズのマムシが一匹。他には居そうに無いので安心して近寄ると、何時ものように敵意の権化のような顔をする。
が、ほんの暫くで敵意が消えて、そばの細い杉の倒木の下に丸まった。麦茶を飲む間にも、首をもたげてこちらを見ている。その顔は、カエルやほかの蛇と変わらぬおとなしいものだ。あわてて逃げて行くようにも見えない。
ザックを背負う間もじっと見ていたようである。立ち去ったあと如何したのか知る術もないのだが、苛められて敵愾心を抱くのはみんな同じ事である。尾根に上がると北摂霊園は賑やかであった。
東海自然歩道を下りながら結構会う人が多い。一様に「ハイカー」とは云い難い気さくな様子で歩いている。気負ったところが無いのは何とも有難い。しばらく下った辺りの道の上に、ムラサキ色の大型の蝶がいた。
羽根がかなり傷んでいるところを見ると鳥にでも追いかけられたものか、近づいてじっくり観察しようとしても逃げる様子がない。それでも随分近づいたとき、折からのそよ風にのって勢いよく飛び立ち、林の中に消えて行った。
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