涼しい処を求めて川合の役場の駐車場、グランドの四隅を使ってハンドボールの練習が続く。夏場の合宿に特有のあの匂いと伴に、絶え間なく上がる掛け声が木霊する。
紅潮した顔の上空には僅かに陽射しが残り、山腹から上はガスが掛ってどうやら雨模様。歩き出すと細かな雨粒が顔に当たる。
悄然とした歩みも流れる汗に鼓舞されて、鉄塔までは一気に登った。白倉谷の中腹に掛かったガスは、降ったり登ったりで安定しない。
それにつれて雨粒も、大きくなったりミスト程になったり心細い。雨模様の大峰の尾根は流石に涼しく22度。雨に濡れた狼平の朝は余程寒かろう。
迷い道もどうやら林道出会い、急ぐ道でもなく腹も減った。様子見を兼ねエネルギー補給。あまり冷えないザックのビールも序に頂こう。ビールがよいなら晩酌のアテもついでだ。
滅多に有る事ではなし、大いに飲もうか。てなわけで、まだまだ行程を残した登山道脇で宴会を始めてしまったのである。風は冷たくて一枚着込んだところで暖かくない。
下山の登山者に合わなかったのは幸いであった。かくする間にも天候は愈々悪くなり、目に見えて雨脚が強くなった。あたりもすっかりガスに覆われて暗くなった。
ザックを背負っての下山道、ビールの余韻の眠気が襲い、シート広げて寝たい欲求を抑えるのに大いに苦労した。真面目に弥山詣でをおえ、足を引きずりながらも階段を下る方もおられる。よもやリタイヤの宴の後などとは口が裂けてもいえないのである。
車に戻った時にはすっかり夕方、グランドではまだ練習が続いていた。明日は近場で残りをやらねば申し訳ない。
そして今日は半国山である。
林道では25度、尾根に上がると風に冷ややかなものが混じって何とも爽やか。うっかりすると、こんな近場でも寒いくらいである。
尾根下をトラバースする樹林の回廊、黄緑色の光の仲に、数本の犬ブナも混じっていた。
(写真は1月台高・薊岳です。死ぬほど寒かったです)
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