■ 若狭・長老ケ岳
・・・・2012年07月08日
2012.7.8

国道27号からは雨であった。南部は晴れ、北に登るに伴い天気は悪くなる。ナツツバキの落花は雨の降る日に限る。ちょうど、ナツツバキの開花の季節到来。

途中、幾らか強くなった雨脚も、登山道となる林道入り口で霧雨程度となった。歩き始めた谷川の水は、多少であるが濁っている。林道脇のホタルブクロも既に時期を過ぎ、色あせて茶色く変色したものが僅かに残っているだけだ。

新しい浄水場を横に見て、キャンプ場までの緩やかな勾配を登る。時折強く振る雨も長くは続かない。道脇に並ぶ、端正な桂の葉が瑞々しい。開けた辺りから見下ろす集落は、雨に煙って静かに眠っているようだ。

眠っているような集落ではあるが、川の傍の太公望だけは別である。駐車場を過ぎてトイレのある広場に到着。車が2台あって無人であった。ここから登っていった方々が既にある。雨滴の落ちる潅木のトンネルを抜けると尾根に出る。

嘗て展望台であった残骸ののこる尾根上からは、流れるガスの隙間を縫って、真っ青な谷間が僅かに見えるだけ。傍の、枯れ松の木に遊ぶつがいのコゲラ。見えない谷間にホトトギスの鳴き声が響く。

霧で薄暗いどこかの林床で鳴くトラツグミ。初夏の雰囲気が満載だ。登山道上にはミヤマママコナのピンク。雰囲気の良い尾根を歩くと展望所にでる。ここの天井にはスズメバチの巣の跡が明瞭に残っていた。

展望の良かったこの場所も、数年の間に育った松によって、開かれた正面限定になってきた。雨に濡れた尾根芯のイワカガミ。そろそろ目当てのナツツバキの林がある。登山道には白いナツツバキの花があり、同時に、雨粒と一緒に落ちてきてもくれよう。

見上げた梢に、僅かに白い花も確認出来る筈である。雨は降れども色が無い。苔の着いた岩場に咲く小さなヤマツツジ。ナツツバキを探して深い林の中、既にシデの林に変わってしまった。長老から続く尾根に乗ると右手は植林地、左手にはリョウブなどの潅木が多く、中にはナツツバキもあったが花は無い。

イワヒメワラビが覆う杉の林で、何者かが掘り返したマムシ草の根っこ。探索中に飛び出したのは、ころころした可愛い小さな野ウサギであった。登山道を転がるように下っていった。同じくカウベルを響かせて下ってきたのは3人のおじいちゃんパーティー。

2台の車のことを聞かれて、え?、知りません。では、2台の車の方は何処に行かれたのであろう?。展望の無い長老のピーク。風が流れて甚だ寒い。気温は14度ほどで雨も降り出した。

下りは林道を下ろうか。樹冠が手の届くところにあって、中々に楽しめるコースである。暫く下った左手直ぐ下から聳える巨木2本、葉の形はアサガラに似てやや小型。桑の木のようでもあり良くわからん。それにしても巨大な木である。

時々目にする鮮やかなヤマアジサイ。暗い場所を好むのか、写真映りは今ひとつであった。


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