■ 京都西山・地蔵山
・・・・2009年04月26日
2009.4.27

地蔵山、愛宕山尾根は雲の中。平地でも雨の振る中、強風の山頂部は寒かろう。先週は春の装いでは暑かった、今日はまた大分寒い。ポケットには台高の地図、この雨と風では尾根あたりから飛ばされて、季節外れの北風小僧の貫太郎にならんとも限らんので、慎み深く地蔵山辺りをうろつくことにした。

芦見峠に続く山道のゲート近くにちびキャタピラーをはべらせた親父が作業中であった。怪しむような眼差しが、チラと此方を見た。親父さん、こんな嵐の山でもアホは一杯おりますぞ。悠然と、小雨に煙る山道を辿り、萌え出るタカノツメやコシアブラの葉を旨そうに眺めつつ、芦見峠に着いた。峠の傍の伐採地には美味しそうなワラビがある。そのまた隣に取れそうで取れないタラの芽がある。

ナイフを取り出しタラの木を見上げ、時間だけが過ぎていく。背よりも高いところの芽に近づくとタラの刺が痛いのである。泣く泣くタラを諦め地蔵山への道を登ると思い出したように雨が強く降る。背中を濡らす汗が冷え始めて寒い。スキー場跡に残る風雪に耐えるミッションコーラの看板も、随分傷んでものの哀れを誘うのである。はよもって帰っておったらなんぼかになったんや・・。

落葉樹の林には、葉を出したばかりのメグスリノキやシデに混じりコシアブラがある。ちょうど旨そうな具合の開き方で、これは少しいただかなあかん。薄暗い雨の降り止まぬ林の中、細い木を見つけてはひん曲げて、出たばかりの芽を摘む姿は妖怪と変わるところがない。よう人と出あわなんだ。

ひととおり収穫が済むとかなりキツイ登りがある。冷えた背中の汗がまた熱くなり、ピークが近づくにつれ風雨ともに強まった。白い小さな花を沢山つけたアセビの林を進むと例の花の蕾があった。流石にこの荒天で花は開く筈もないが、しっかり残って花を着けた姿が嬉しいではないか。ピーク手前のお地蔵さん、この山の由来の主とは今年はこれで二回目の対面である。如何に神仏と雖も、施された恩を忘れてはならじと、今日もまた教えを垂れるのである。

地蔵さんの傍にも、後退した笹原の中に蕾が幾つか。三角点のケルンの上に、小さな手彫りの仏像が二体。技は未熟に違いないのだがここに持ってきた発想が面白い。95点である。愛宕山方面の林の方から賑やかなおっちゃん達の声がする。ピークを下り愛宕山方面に下ると直ぐ、先ほどの声の主達に出会った。

愛宕山手前で尾根を外れ、杉林を少し歩くと林道に出る。風雨少しく収まった林道を、透明な簡易カッパに身を包む怪しい集団と遭遇した。見ればやはり老老男女である。少ししてやはり二人に出会い、更に下って珍しく若い単独男性に出会った。僅かな所用の間にまた二人、登っていく声がする。なんか知らんがへんなところや。

樒が原の桜の花もすっかり散って、春の野草の咲き乱れる府道を歩きながら、立ち寄った土産物やのお二人さん、山は雪でしたか、とは今日の寒さを物語る、興ざめのする言葉であった。


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