1月は、寒さに負けて薊岳手前でギブアップ、今日こそは周回を達成すべく、天までも味方である。気温はこの時期としては多少低めであるが快晴、むしろ体温の上昇を抑制でき、情けない程の体力の消耗を抑えることが出来る。
杉林に入るとなんとも不快な傾斜のある山道が延々と続き、僅かな間ではあったが弱気が萌した。歩き出すとやはり今日の気温は有り難く、滴る汗ほどはあっても以外にしっかりした足取りで登れる。
とうとう大鏡池まで、予定通りの1時間半で到達してしまった。ここで多少の休息を入れたものの、足取りには影響しなかった。ここまでの標高差は概ね800m、この調子では薊岳ピークまで予定通り12時半に着こうかという調子である。
キツイ登りに耐え、4ヶ月前は深い雪と激しい寒さを伴った風の吹きすさんだピークに到達、霧氷を纏ったブナの枝には今は冬芽がある。かなり寒い日が続いたようで、今年もこの季節でブナの若葉がない。
昨年は、若葉を出したブナを寒気が襲い、全体で例年の半分ほどしか葉を着けない固体が多かった。今週はこれから温かくなるようであるから、昨年のようなことにはならない筈だ。
一部の樹木、もみじの仲間には若葉がある。白い花を着けているのはオオカメノキ。3月頃の花である。ピーク手前の岩尾根のシャクナゲには、今にも咲きそうな赤い蕾をつけた固体が数本。
綺麗なピンク色の三つ葉ツツジは直ぐしたの斜面にチラホラあった。ピークから望む台高の谷間は、柔らかな萌黄色に染まっていて、直ぐにも標高の高い尾根に到達することだろう。それにしても、夏鳥であるツツドリやオオルリには少し寒すぎる気温である。
薊岳から前山に至る尾根道のいたるところにワチガイソウの小さな花が咲いていた。前山方面から下ってきた2パーティーのおじ様達。水平道と緩やかな下りになれた足には、立ちはだかる様な前山の傾斜が酷く応える。
何が悲しくて下りのルートを登らねばならぬか、何時も起きるささやかな疑問である。前山ピークに到達するや、賑やかな声が木霊する。向いの登山道や明神岳からの下りルートの尾根に散らばったハイカーの姿。恐らく、観光バス2台で来られた方々に違いない。
枯れたイワヒメワラビの谷間を隔て、おーい、おーいの声が明神平に響き渡る。前山で汗を乾かし明神平を下った。アセビ山荘下の東屋には、尾根組を合わせ総勢20名程の方々がのんびり休息中。出水の多い谷の道を下って大きく毀損した林道終点。
先ほどから動かない白っぽい塊、20名の方々を待ちわびる、お仲間のご夫人2人であった。
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