■ 鈴鹿・仙ガ岳 南尾根〜白谷
・・・・2012年04月29日
2012.4.29

88夜がいつ頃であるのか好くは知らない。しかし目の前では茶摘み作業が進行中であるから、もうそろそろだと思って差し支えあるまい。大きめのトラックを従えた茶摘み器械が唸りを上げる中、額に汗が滲む。

長大な堰堤の前には車が5台、30分の短縮はどれほどの効果があったのか。クマノミズキの白い花は見たのだろうか。鬼ガ牙の険しい岩肌はどのように映ったのであろう。

1時間弱の林道歩きを終えて、やっと南尾根への出会いがある。照葉樹の薄暗い、といっても今日は天気がよく暑いくらいであるから、守り神の動静が気になる。ときどき、うず高く積もった枯葉の上を注意しつつ、細い流れを上流へと進む。

険しい斜度が目の前に現れると、南尾根はもうすぐだ。尾根を目の前にして、とぐろを巻く2匹のマムシ。温まっているのは分かるが、直ちに鎌首を持ち上げて攻撃体制に入るのは失礼である。

尾根に上がると待ち構える15m程の崖、人でもおれば颯爽と登れるものを、観衆がいなくてはこれが辛い。いきなりの大汗で気分が悪い。どうも今日は体温調整がうまくない。

アカヤシオの咲く岩尾根を登りながら気分が悪い、しまいには力が入らぬ。完全な熱中症だ、情けない。それでも休みを入れながら、目指す仙ガ岳西峰の象徴である仙ノ岩がみえてきた。

振り返った伊勢平野は、春霞の中で今一つ存在感にかける。アカヤシオはぼちぼち咲いてはいるが、多くはまだ蕾である。今年もまた平年と比して開花が遅れているらしい。そういえば、赤の中にあるべき白いコブシの花もない。

イワカガミの小さな蕾もまだ開いていなかった。ピンクの花影を期待した東側ピークのアカヤシオはまだこれから。影どころか、敷物の上には容赦のない日差しが降り注ぎ、気温は23度を超えてとても冷却どころではないのだ。

東に連なる鈴鹿の山並みを見ながらたったままの昼食。登りに時間をかけてしまったお蔭で御所平・臼杵岳は次回に見送り白谷を下る。ゴロゴロ石の上にまだ乾かない踏み跡が幾つか。

谷に注ぎ込む湧水の幾つかを忘れるものではない。空になったペットボトルの清冽な湧水は格別であった。数えきれないくらいの渡渉を繰り返し、白谷を下った。途中、子供同伴の5人連れ、ご夫婦らしい二人連れを追い越した。

背後に、焚火の煙をまとった男性一人、少しだけ登ってみるらしい。残った食事担当は奮戦中の筈である。まったく羨ましい。






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