最近場の半国山、思い起こせば大体60回以上も歩くことになる。中でも今年が一番春が遅いように感じるのだがどうだろう。驚くことに、今日の冷え込みにも関わらず、金輪寺への道脇には怪しい姿のショウジョウバカマとイワナシの花が彼方此方に咲いている。
尾根に上がると一部の林床には氷柱が光り、温かい日差しとは裏腹に、抜ける風の冷たさにも頷けるものがある。流石にこれから先はまず温かくなっていくだろうから、これがこの冬北摂での最後の氷かもしれない。
掃き清めたようにも見える登山道は、一体何が?。イノシシは掘り返す専門で掃くことはない。では何が?、とここで気が付いた。先日の猛低気圧のもたらした、集中豪雨の所為だ。気付くと大したことは無いが、そういえば山中に水が多い。
ピーク下の、送電線に沿って伐採された日溜りの広場は暖かかった。名前も知らない、鳩くらいの鳥が沢山いた。何だろう?。ピークへの道のりで、下ってくる10名ほどのパーティーと遭遇、若いのかお年なのか、色々観察した結果、まるで分からなくなった。
観察はしない方が良い。ピークにはまだご夫婦が一組、食事が済んだのか、暫くして奥さんに促されるように下っていった。幽かに浮かぶ比良の山並みは白い。赤熊への下降は久しぶりだ。石ゴロゴロの道は歩き辛く、恐らく今日は水が多かろう。
ピークから赤熊への下りの道は、バイクと水で殆ど毀損してしまった。南からは「二輪車禁止」の高札が有効であろうが、こちらにも是非あって貰いたい。瑠璃渓ルートの踏み跡は心持ち少ない。新しく建てられた可愛らしい案内図を見て赤熊へ下った。
思ったとおりの水の流れる酷い悪路である。少々変わったところがあるとすれば、綺麗に済んだ水が流れている。沖積土が何時でも流れに混じり、色は濁り川床には泥が多かった。度々起こる異常な出水で綺麗さっぱり土を流し去ったか、もはや表土を流さないくらいに植物が繁茂しているのか。
足の痛くなる頃にやっと赤熊集落に辿りついた。直前の松の林には古墳群があり、残念なことに全て盗掘の憂き目にあったものばかりで、中を覗いても最早なにも残っていない。
赤熊から歩く集落の道に、大きく育ったフキノトウがあった。逞しいツクシはアスファルトの継ぎ目から、地を這うヨモギはあぜ道に、冷たい春にも負けず大いに元気に育っていた。
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