■ 鈴鹿・雨乞岳 甲津畑〜雨乞岳
・・・・2012年03月10日
2012.3.12

フジキリ谷から見上げた山の端は黒ずんで、今日の空と同じように、何処にも明るいものがない。長い林道の雪も完全に融け、林道終点近くの桜地蔵の、わりと新しい原色の飾りが妙に鮮やかに感じられる。

林道終点にある山小屋らしきものの庭先に、送水管に誘導された大量の水が流れている。自転車の発電機でも設置したなら、自家発電も可能なくらいの水である。

山道の危険箇所については丁寧は補修が入り、至って安全な道になった。誤って、谷底にでも落ちたら大変ことになりそうな場所も何箇所かはあったのだ。鉱山跡を過ぎ、奥の畑出会いを過ぎた蓮如上人の東屋跡。

うっすらと、僅かに残った雪の上に鮮明な足跡を残す先行者が一人。ところどころ、融け残る雪の塊も見るようになった。見上げた山の端の樹林だけが白い。右岸に渡ったところで帰ってきた先行者とであった。

優しそうな若者で、腰にはライトを着けているところを見ると、相当早くに歩き出したものであろう。雪が登山道を覆うようになり歩きにくい。アイゼンもワカンも効きそうにない。

杉峠したの小屋の先に、今日の足跡はない。してみると、先の若者はここで引き返したのだ。もう少しで峠だというのに、まことにもったいない。峠の下から風が強くなり、霧氷は枝先といわず草といわず、石にもなんにでも出来ている。

峠から見上げた雨乞岳の急斜面、流石にひと息いれないと気が滅入る。雪面に残る足跡は一つだけ、林の中には雪はない。踏み込むと程よく足に食い込む程度の硬さがあって、登るのは案外に楽だった。

山腹を吹き荒れる風だけでも弱まってくれたら、どんなにあり難いことか。ガスで辺りの景観は全くない。雪が少なくて、露出した夏道を歩く場合も少々、最後は、かなりの雪に覆われた池を抜けてピークへ。南斜面に雪は殆ど残っていない。

強力な笹に覆われたルートを清水の頭まで抜けるのは困難だ。ピストンも詰まらないので、北西に下って奥の畑谷に下降するルートを進む。小柄なブナに出来た霧氷が綺麗だ。ときおり滲むようにガスが明るくなるのは太陽が顔を出したところだ。

歩きやすいところを歩いているうちに、どうも奥の畑下降地点を間違ったらしい。ガスで視界が殆どない状態で、出来たら谷の出口あたりに下降したかったのだが、しかたない。

どうでも難しくなったら引き返す積りでフジキリ谷への下降ルートを探す。谷川に沿って下ると、鉱山時代の建物らしい廃墟があった。しめたこれで大丈夫。ガレた谷を下って川に出た。渡渉に多少アルバイトが必要であったが、随分時間の節約にはなった。

見上げた山の端は今でもガスに覆われて白い。雨が降るような天候にでもなれば、氷点下の山頂部は雪が降る。


CGI-design