1日くらい暖かな日があったくらいで、雪深い山域に出かけようなどとはもっての外、今週も自重した結果、北摂界隈のおじ様・おば様の仲間入り。林道の至るところに凍りついた路面があり、橋の上などは僅かな雪と混じっててらてら光って恐ろしい。
途中に二つある池の一方は水が抜かれ補修中、もう一方は全面結氷、常緑の木陰にあたる部分を除けば、降った雪を載せて真っ白である。石を投げるとびーんびーんと響いてなかなか面白い。あたりに大きな石が無いのが残念だ。
登山道出会いから林床に雪が残る。昨日のものだろう踏み跡を見詰めて尾根に上がる。いつのまにか顎から汗が滴っていた。半分はうす雲に覆われていても、久しぶりの日差しが覗いて温かい。
薄くても、北側斜面の雪は健在だ。雪面には動物の足跡が無数にあり、登山者の踏み跡を利用して、何時までも路を離れない。ときどき登山道脇の立ち木の根元を探るように巡っている。恐らくイタチの仲間に違いない。
尻尾の跡も鮮明に小さな足跡を残すのは、イタチの獲物である野ネズミである。イタチが探し回る中を、わざわざ外に出て危険を冒すのはおかしい様にも思われるのだが、それがイタチのもたらした効果なのだろう。
綺麗な林床をかき回すほどの乱暴者はイノシシに違いない。鹿の足跡は小さくて大人しい。タヌキかキツネか、登山者の足跡に紛れてはっきりとはしないのだが、新たな捕食者の登場に、小さな野ネズミも肝を冷やした事であろう。
それら捕食者の足跡は、離合を繰り返し全体としては半国山ピーク下まで続いていた。肉食である筈の彼らの糞は、雪の上で綺麗な紺色である。木の実を食べた結果かも知れず、肉を食べたようにも思われない。
ピーク下の、ご親切な方々の作られた階段を上る途中、おじ様・おば様登山隊に遭遇、概ね10名ほどのパーティーで、お年に言及しては不敬罪に問われそうな方々である。何方も格好の良いアウターと新品の靴が目立つ。
思ったほどの積雪のないピークには、傍若無人につけられた足跡だけが残っていた。高さは無くても流石に風が冷たい。比良はガスの彼方にあって、地蔵山辺りがぼんやり見えるだけである。
ピークを辞してピストンコース、一番雰囲気の良い東尾根まで戻ったときに、雪の上に残る「好き」の文字に立ち止まらざるを得なかった。そもそも、このような字を表すこと自体、恥ずかしいと思う年頃である。しかし彼らはそれをやってのけたのである。
恐るべきは、老いてなお青春の情熱と羞恥を持ち続ける彼らである。相思のカップルでもいたのだろうか?。想像を逞しくしつつ、最後に彼らの顔を拝みました。恐るべき世代・・
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