■ 京都北山・鎌倉山
・・・・2012年01月22日
2012.1.22

現在でも坊村の役場、と表現して良いかどうだか知らないが、何時もの駐車場に異様な看板がある。曰く、登山者の駐車を禁ず、である。これは、不貞の登山者を戒めたものなのか、発展して登山者全員に向けられた拒絶なのか。

許された範囲であろう場所に車を止め、少し歩くと謎は解けた。今日は大津市長選挙の日であった。ここは投票所で、目の前に居並ぶ車は全て、選挙関係の車に違いないのだ。とはいえ、確か前回止めた折にも同様の高札があったような。

ここは自戒が必要な時ではないか。しかし、駐車地に車を止めた登山者は、その殆どを山で過ごす。悪さをする暇も多くはない。何処かのように、今に有料化も検討される恐れもあろう。

鎌倉山へは小橋を渡り、谷川を少し登ったところから急斜面を一気に上り詰める。雪が無くてもいきなりの急坂は応える。今日は積雪があって、鹿の踏み跡を除くと何処にも先行者がいない。武奈ヶ岳程ではないにせよ、それなりに人気の山域だと思っていたのは過去の事になった。

鹿の為に、トレースを残すような形になった。鹿にでも喜んで貰ったらそれも良かろう。地元の方に聞こえたら、不謹慎の謗りを免れまいが、鹿を罵りながらもトレースを残してやる方々もある。

上の林道まではなんとか壺足で歩いた。真っ白な雪に覆われた林道に、残るは鹿のラッセル跡だけ。ここまで来ると、坊村を覆った霧の上に出る。西南稜と武奈ヶ岳は、昨日も新雪があったかのように純白である。

ワカンを着けて登る夏路、積雪も次第に深くなる。ブナ平辺りから日差しも洩れて、風も無い雪の上は暖かい。一面の、枯れたミズナラに取り付いたカワラタケ、ところが其処には思わぬ副産物もあったりするのだ。

この副産物を求めて林の中を逍遥すること1時間程、植林も切れて、いよいよ最後の急斜面がある。雨雪の所為なのか、ワカンに付着する白い雪が非常に重い。ピークまでは近いようで容易に近づかない。

雪庇の傍をただ歩くと、沈んだ潅木の上では股上まで沈む。眩しい雪面を蛇行すること凡そ1時間、もっとも、真っ白な大地に痕跡を残す快感を求めて、余計な寄り道があったことも含んである。

平坦な鎌倉山のピーク端から、南に琵琶湖バレイのある蓬莱・打見山を望み、南東に武奈ヶ岳を望み、東に真っ白な湖東の鋭鋒・山脈を望む。何時か、あそこまで行ってみたい。望遠鏡で見た武奈ヶ岳ピークに4・5人、西南陵にも点々とハイカーの姿があった。

ここは静かで、今日に限っては動物の気配もまるで無い。ときどき、枝先に溜まった雪の塊が、音を立てて落ちてくる。北側の谷底に、雪に埋まったような久多の集落が見える。


CGI-design