■ 鈴鹿・綿向山〜竜王山
・・・・2011年12月10日
2011.12.11

綿向山は未だ登っていなかった。近場でいける山は厳冬期のために残しておかなければならない。雨乞は3月ころに行くだろうから、ここは未踏の綿向山に登ろう。R477を離れて鄙びた道に入ると、ハイキング姿の男性が一人、黙々と坂道を登っていく。

暫く走るとトイレのある分岐があって、大きな案内板が設置されている。ぐるりと回る積りで竜王山登山口を目指して更に暫く走ったところでお寺の前。右に折れると山に向かい、暫く走ったところで舗装が切れた。

これはまずかろうと引き返し、トイレのあるところを右に進むと橋を越えて駐車場があった。そこには20台ほどの車と、仕度のできたハイカーが沢山。多くは妙齢の方々である。真っ直ぐに進む方々、川に沿った道を選ぶ方々に分かれる。

川に沿ったコースは表参道らしく、看板では初心者コースとあったルートに違いない。竜王山コースはこの際止め、皆さんについていくことにして一番遅れて表参道に向かった。急斜面の山腹に取り付くところに立派な小屋がある。

小屋の前で汗を拭いているのは、道路を歩いてこられた男性に違いない。かなりのアルバイトを既に済ませている。急斜面の登山道は、くねくねと山腹を巻きながら徐々に高度を上げる作りである。山腹を何度か往復すると、高度標識の数値が1合目から2合目などと変わってくる。

歩けど歩けど景色は全て杉の中、聊かもなし無しと云わねばならぬ。僅かに、左の端に達した辺りばかりは谷に射した日差が明るい。杉の林が切れたところに綺麗な山小屋のある開けた場所がある。谷全体が見渡せて、下方には湖東平野を望むことができる。

ここを離れるとやっぱり杉の林を歩き、林道と出会うところにカウンターの付いた山小屋がある。木陰にあるので今は暗い。夏場には都合が良さそうだが、山ビルが恐ろしいので、お世話になることは有りそうにない。次に明るくなった時には右手の遠景に水無山山頂が見えた。

尾根に乗ると僅かに落葉樹の林が残り、ブナの落ち葉で登山道が明るい。小さなガレ場を過ぎると様子が変わり、厳しさを体現した木が疎らにある急斜面の巻き道である。巻きながら高度を稼ぐと林床に笹が出てくる。

笹が現れて直ぐ階段がある。最後に階段では騙し討ち、山頂には小さな祠があって、一応の形式を整えた格好だ。正面に、綺麗な笹に覆われた清水の頭から雨乞岳が聳え、山頂北側は白い。北側へ進むと辺りの枝に霧氷が残り、撮影に余念のない方々が数人。

後から来られた方々は、早速日溜りにお弁当を広げて賑やかだ。日差しがあると風の冷たさは殆ど苦にならない。北側に続く道を辿り、なんとかイハイガ岳まで行けないものか。心配された笹原も、今は随分背が低い。笹の尾根に続く一本の道。如何見ても人のものだ。

少し下ったところで、イハイガまで行ってこられた男性と行き会った。少し迷って1時間半かかったとか。遠目には、どんなにしても迷いそうにも思われない。明るかった空に目をやると、黒雲が広がりつつあり、雨乞のピークあたりは既に雲間に没した。

イハイガは次の機会にしてお昼。日溜りは遠くにあって、当りは雲の下で暗い。おまけに白いものがチラチラしてきた。登り返して竜王山コースを下る。一気に下るので、設置ロープは有り難い。こちら側は深山の趣があって、登るならこちらが良さそうだ。

良い具合に平坦部も現れる面白いコースだ。単独の男性と出会い、にっと笑って登って行った。振り向くと、綿向山稜線が遥かの高みに聳えていた。この秋に若葉を出したマンサクだけに、萌黄色の葉が残る。殆ど水平の尾根が続き、鉄塔に向かって少し下った先に、竜王山の山頂プレートがあった。

竜王を名乗るからには、何処か気韻のある場所であろうと思ったのだが、特徴のない普通の尾根があるのみであった。あるいは雨乞岳の前衛として、地元の方々に祭られたのかもしれない。尾根から見下ろした辺りに溜池の多いのは、そういった背景を説明しているのだろう。

中電巡視路?を下り、かなり荒れた印象のある林を下って林道に出た。直ぐに二人のパーティーが降りてこられ、お二人の後ろを追って駐車場まで戻った。


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