■ 比良・明王院〜武奈ヶ岳
・・・・2011年11月05日
2011.11.6

ぞろぞろハイカーが集まる片隅の側溝に、誰が飲むやらビンビールが2ケース、速い流れの中に紅葉を纏って旨そうだ。帰りには、汗を流した風呂上りの火照った身体に流し込みたいものだ、などと思いながら、思いを遂げたことは嘗てない。

この苦行コースは何時でも人が多い。どうでも懺悔の必要のある中高年が多いのであろうか。神仏に申し開きをする積りはまったくないが、一週間の不摂生は流しに来ているのであるから、それほど違いはないかもしれぬ。

それにしても見上げると溜め息のみ。苦しいからといって足元ばかりを見詰めていても、何時しか思いは尾根の上、そろそろかな、と思わず顔を上げてしまうのである。果たして尾根は、まだまだ見えもせず、手前のピークが目下の難関である。

今日の皆さんの歩きはなかなかに逞しい、山なれた歩きである。ここまでは止むを得ず多少なりともリードするような形であるが、下手すると置いていかれそうだ。ひと息つく200m程の尾根手前、ここからが更に苦しい。

急斜面の九十九折れの道はなかなか終わらぬ。上着も帽子も汗でビショビショ、溢れた汗を振りまいて、残り50m程でやむなく離脱、尾根に乗った時には半数は既に去った後であった。

尾根上からは夏道を外れて尾根を行く。犬に似た鳴き声で、斜面の中ほどを覗き込むと、猿の群れが移動中、最後の多少立派なヤツがボス猿かも。その前を小さめのが数頭歩く。

落ち葉の上に雨粒が落ちる。天気予報は午後からを予想していたが、まだ10時で雨がきた。カッパを着込んで御殿山を目指す。こぼれそうな程青い実をつけたサワフタギ。御殿山では、標準語の中に、懐かしいアクセントを隠せない伯母さまたち。

西南稜はガスの中、風の加減で僅かに姿を現す武奈ヶ岳。草と潅木しかない西南陵の上を吹く風はかなり強い。強い風の中、背丈の低いリンドウは、日差しがないので開かない。そのとなりに咲くアカモノは、5月頃に咲く花であろう。

武奈ヶ岳ピークに人は少ない。風と雨で直ぐにも引き返す。ところが、戻り始めた御殿山の北側斜面、風を避けた、ハイカーの群れが陣取りお昼の仕度。ただでは帰らんのがすばらしい。

更に下った樹林の中で昼食にした。濡れた身体はたちまち冷えて、長く留まるところではない。雨脚もまた強くなった。濡れた急斜面は良く滑る。雪を被った場合なら、アイゼンなどで滑り止めが可能だ。

なまりのあるご婦人方の一人、滑って多少痛い思いをしたようだ。帰ってきた明王院の入り口の、杉の巨木の下で昼食のご夫婦もあった。


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