■ 京都北山・芦生 内杉谷〜櫃倉谷
・・・・2011年08月15日
2011.8.15

駐車場の車を見て驚いた、まだまだ芦生は健在だ。着くと同時に歩き出した、おそらくは家族だろう5人組、子供とお父さんは最後尾で、流れの中や林の中の微妙な変化に足を止める。

櫃倉出会いの左手山腹に、あった筈のナツエビネ、先を行くお母さんの作る撮影会を期待していたのだが、整然として何も起こらん。何故?、と見るその先に、約束のナツエビネの影も形も何にもない。

鹿が食べたか人が喰ったか、ナツエビネは何処にもないのだ。10年前は何処にもあったナツエビネ、それが今は何処にもない。鹿は葉こそ食べるが根までは食べぬ。ではイノシシが喰ったのだろうか?。

鹿やイノシシは生き延びるため、これを責めるどんな言葉も持たぬのである。彼らは櫃倉谷に消えていった。目の前にそびえるメタセコイヤの柔らかな葉、轍はあっても足跡はない。

幽仙橋までだれとも会わない、車も通らん。よく考えれば当たり前、今日はお盆でこんなところで歩いているのがおかしいのだ。黒いアゲハは追っかけてはならないものであった。黒いアゲハの舞う幽仙橋は涼しい。涼しいので、踏み跡も薄い谷道を歩いてみよう。

道はすぐ不明瞭になり、踏み跡ばかりは判るけれども、人か獣か判断ができぬ。できぬが今日はこれを登るのだ。谷底への急斜面に続く踏み跡は、ときにガレ場で途切れている。あたりは植林地であるから、何の心配もいらないのだ。

少なくともこの暫く、どなたも踏んだことはなさそうな斜面は、谷を2つほど超えた先で消えてしまった。消えたのは、尾根に上がりたい欲求が勝った結果ともいえるのだが、尾根のヤブコギもまた凄まじい。

嫌気と闘いながら藪の斜面を登ると山腹を横切る踏み跡がある。これも人か獣かは不明であった。が、驚いた可愛い友達、たぶんミミズクの赤ちゃん、ちょうど巣立ちを迎えたところであっただろう、目の前の小枝に、音もなく飛び出した二羽、こちらを見ながら「クエー」と鳴いた。

暫く同じ状況で見ていたが人を恐れぬ。生きる時間帯が違うのだから、恐れる必要はないかもしれん。ちょっとおボケな顔である。なお少し登ると林道に出た。林道を登り詰め、出会った轍の残る林道を左に1時間、これは長い。やっと櫃倉谷へ続く「遊歩道」である。

「遊歩道」を注意深く下って谷底の水場、頭を洗うと羽虫が沢山よってきた。以後、この羽虫は車までついてきた。もっとも、目の中へ急降下した奴は、威力をもって排除されてしまった。

踏み跡しかない谷底を巡り、横山峠を抜けて林道へ。それにしても登山靴は重いものだ。午前中にあったご家族は、サンダルを履いた方もあったのだから。すっかり垢を落として戻った駐車場、たった3台を残すのみ。小規模水力発電の工事があるらしい。



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