■ 大峰・日裏山〜明星ガ岳
・・・・2011年07月17日
2011.7.18

今年は梅雨でも雨はなし、その後の暑さで川岸には水を求める人の群れ、向かいの川岸には大型のテント。よろめくような春ゼミの声も、いつしか夏ゼミに取って代わった。

林道を渡る風も、昨年と比べてかなり強力だ。そんな林道の片隅の梢、ここを根城に鳴くオオルリの囀り。日差しの中で聞くと妙に暑苦しい。遅い出発なので他に人はいない。

尾根を登り始めて下ってくる人となら出会う。長い下り基調の登山道にうんざりした人が、林道まではあとどのくらいであろう、などと聞く。更に登ったあたりで、3人のパーティーのしんがりを努めるややお若い男性、足はもつれお顔にも疲労の色を隠せない。

一呼吸おいて気丈に下っていく後姿の、妙に傾いていたのが印象的であった。それからもソロの男性に数度、やっと登りきった河合ルート出会い。下ってくるパーティーの先頭は何れも元気、後続になるほど足元に不安が見て取れる。

大峰回廊に差し掛かって天候に一抹の不安が出てきた。南から青空は後退し雲が多くなる。せっかく涼しい山まで辛い思いに耐えてきているのだ、ここで青空を失うのは真に辛い。

日裏山の厚い苔の上で小休止、僅かに漏れた日差しを最後に、辺りはガスに包まれ始め、大峰三山の展望所辺りからはガスの中に水滴も混じる。明星へのルートは完全にガスの中である。

谷に下るとオオヤマレンゲの真っ白な花が未だ残る。 八剣谷出会い辺りの大岩の上に咲くやや小ぶりの天女花。青空があれば更に美しかろう。宿泊の用意をして展望所に戻り、燃え出した西の空を鑑賞するという、ちょっとお洒落な時間を過し、戻ると同時に小雨が来た。

目覚めたのは真夜中、激しい雷鳴と稲光。気を失う以外に術をしらず、再び目覚めたときにはテントを叩く雨の音。意を決して下山に入ると待っていたかのような強烈な雨、たちまち登山道も濁流に変わり、ブナの樹幹流は水道の蛇口5本分。

真っ白に白濁し轟音と共に流れるカナビキ谷、弥山川は色を変え、恐ろしい程の濁流となって流れている。熊渡りの橋の上から見た川迫川は、とても人の立ち入る境界ではなかった。


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