■ 鈴鹿・ノタノ坂〜御池岳・伊勢尾
・・・・2011年04月10日
2011.4.10

小又谷の駐車地には先行者が5台、歩き出した谷のいたるところに残雪がある。気温は10度、来週には谷の雪もすっかり消えているだろう暖かさだ。崩れた林道脇の日向には、イチリンソウの小さな葉が萌えだしたばかり、花らしいものはスミレだけである。

中電の橋を渡ってノタノ坂への急坂を登る。道は年々崩れていくようで、山肌の崩壊に伴いハナネコノメなどの姿も見えなくなった。小さな株は幾つかあったので、あるいは崩れた先で繁殖することもあるだろう。

谷川がいよいよ細くなる辺りで谷を越えて対岸の尾根へ向かいジグザグ道を登る。ノタノ坂からは良く晴れた空に鈴鹿主稜線が聳え、下方に茨川が流れている。下れば廃村茨川である。汗を拭きつつ、多少冷たい風の中で小休止。

後から登ってきた単独男性も小休止、地図を広げて目の前の山座同定に余念がなさそうだ。お先に失礼して登りやすいジグザグ道を辿り更に高度を稼ぐ。尾根東側には残雪が残り、小又谷を挟んだT字尾根辺りの山腹にも大規模に雪が残っている。

御池・東のボタンブチが見える辺りはイワウチワの群落があった筈だが、今年は未だ小さな葉が出だしたばかり、何処を探してもピンクの花はない。土倉岳ピーク周辺は一面雪に覆われ、奥の平へ向かう辺りからボタンブチに佇む数名のハイカーが見える。

鹿の足跡が無数に残る黒い土と白い岩の間から逞しいバイケイソウの芽が顔を出す。やっとたどり着いた奥の平、笹もすっかりなくなった広大な地平に強い風が吹きぬける。春霞の先には、大きな空間を隔てて藤原岳、西側には白く雪の残る天狗堂が一際群を抜いている。

西側の縁の辺りは雪で覆われ、ハイカーの足跡は雪の上をボタンブチへ向かっている。ボタンブチへ向かわず、できるだけ最短コースで丸山で向かった。ちらほら見え出したハイカーの群れ、ボタンブチから丸山手前の日向辺りで賑やかである。

丸山下の日溜りで昼食、おじ様達が多い中、先生に連れられた中学生が数名、ボタンブチに下っていった。昨年はこのあたりでイチゲの花がチラホラ見られた。今年はよすがさえ見つけられない。日本庭園に向かう道は雪の道、良く踏まれた雪道は踏み抜く様なことはまったくない。ただ良く滑るだけである。

日本庭園から鈴北ピークにかけては、さながら大手ツアーの如き人出であった。人の流れは絶えることなく、どこからか現れて繋がっていく。元池の先から谷に降り、雪の谷を下ること10数分、右手山腹に金色の虹彩が現れた。今日の目当てのフクジュソウである。

緑の苔と白い石灰岩、その上で咲く黄色いフクジュソウ、追いかけるハイカーの群れ。中には昨年爆発した山スカートのギャル(?)の姿も混じって咲く。延々続く金色の花は、鈴ガ岳との肩になるヒルコバまで続いていた。ヒルコバからは雪の御池谷を下るハイカーと分かれ、足跡の無い急斜面を歩いて伊勢尾に向かう。

伊勢尾の右側半分は植林で、暗くてダニが多くてお勧めではなかったのだが、杉もいまや大きく育ち、下枝を落とした尾根上はすっかり明るく歩きやすくなった。最後の急降下では、明るくなって手がかりが少なくなった分歩きにくい。

御池橋からは長の林道歩き、山腹側には雪が残り、鋭角な岩の転がる路面は走りたくもない。川原で多く見た鹿の死骸が、今年に限っては林道の路面に数体、恐らく飢え死にだと思われる。ヤマエンゴザクやキケマンに先立ち、フサザクラが咲き始めている。


CGI-design