大又の路上こそは雪も無いが、気温は-2度で雪解け水は凍っていて、路肩にはまた随分雪が多い。恐る恐る集落の外れまで車を進め、やれ嬉やと見た水源地上の駐車場、20台ほどの車が駐車している。
なんだ、みんな同じ、これから先には行けないのだ。そうと決まれば伊勢辻からの尾根歩きに決まっている。昨年は大量の雪に阻まれ、伊勢辻であえなく敗退。今年こそは何が何でも明神平までの尾根歩きをやってやる。
伊勢辻への登山口に入ると案外に踏み跡が多い。しめた、これで間違いなく周回ができる。耳を澄ましても何の音も聞こえてこない。辺りは静まりかえり、ときおり枝から落ちる雪の音だけだ。
綺麗な石積の残る伊勢辻への道はいきなり急な坂道から始まる。杉林の中からは慰みもない。全身から汗がにじみ出て暫く高度を上げるとワサラ滝出会いである。滝の音はすれども姿は見えず、登山道にも雪が現れ滑り出した。
かなりの人が先行しているようで、踏み跡に困るようなことはまったく無い。快調に進んで谷川を数回渡るとそろそろ伊勢辻山辺りが見えてくる。ちらと見えた後姿は先行のおじさんたち。
自然林がちらほら出てきた辺りでとうとう二人のおじさんを捉えた。更に進むと6〜7人のパティーの後姿、台高の尾根に出たところでやっと追いついた。伊勢辻山はどこかと尋ねられ、あのピークがそうですよ、もう直ぐですよ、と一緒にピークまで同道。
綺麗な雪面が広がる伊勢辻ピークで別れていざアカゾレ山。へ?、何処にも踏み跡がないのである。綺麗な雪面が柔らかなカーブを描いてアカゾレ山まで続いている。が、何処にも踏み跡がない。どうしたものかと思案しつつ、弁当を広げた後続の方々の眼差しがささってくる。
え〜い、ここは進んでみせたるわい!、膝まで沈むことはまれで、だいだいはくるぶしの上くらいまでで何とかなりそうだ。暫く歩いては後ろを振り返り振り返り、伊勢辻からの距離を測る。別にそれで何も起こる訳ではないのだが、何気なく満足できてしまう。
アカゾレ山はピークを巻いて次に目指すのは馬駈辻、馬駈辻でパンをほお張り、更に目指すは国見山、こいつを越えればあと少し。セッピが随分発達し、尾根芯の潅木は殆ど雪の下である。尾根芯を少し南に外れるとこれがよく沈む。へたすると胸まで埋まって抜けるのに随分骨をおる。
やっと国見山ピークに着いて辺りを見回すに、踏み跡がない。衝撃が走る、もうやる気が萎えそうでもある。前方を伺うと、水無山ピークの下には随分深い肩がある。暖かいしテントももっとる。ここで今日はおわりや〜〜と云えたら楽だろうな。
水無山へもやっぱりセッピの上を歩いた。南側は沈むだけではなくて、枝からの落雪が激しいのだ。ここら辺りの木はほぼ全身雪をまとって、存在感がある。よほど激しいブリザードの起こる場所らしい。などと気を紛らわしつつ、やっと水無山ピークに到着。ここには踏み跡もあって明神平まで続いていた。
身体はくたくた膝はがくがく、いや、両膝とも少し痛むようだ。殆ど休んでいないので、上半身は汗で湿ったままである。最終パーティーを追いかけて、アイゼンを着けて積雪の多い道を下った。明神滝下で20人ばかりのパーティーに追いつき、道を譲って頂いた。無論、皆さん妙齢の方々ばかりであった。
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