■ 比良・小女郎谷〜小女郎峠
・・・・2011年01月09日
2011.1.9

年末から続いた寒気がやっと一段落といったところか、どうにか湖西道路を無事に抜けて琵琶湖バレイの入口にある無料の駐車場までたどり着いた。隣には同じ夏タイヤをはいた数台の車、ちょっと違うのは彼らは今夢の中である。

湖西道路に沿って西に30分、小さな道はおおむね氷着いて無理をしなかった事に胸を撫で下ろす。と、そこに夏タイヤを履いた二台の車が固まっていた。それほどの雪でもなく氷でもなく、ちょっと時間が悪すぎたのだ、JAFがくるまでの辛抱。

小女郎谷の入口に夏タイヤの軽自動車が一台、30分も歩く必要はなかったかもしれないのだが、君子は危うきに近寄らず。登山口から続く斜面の田圃は一面真っ白である。除雪された道に残る登山口のソールの跡。随分楽ちんな道のりを想定しても良さそうだ。

舗装路が途切れると雪道となり、登るに従って深くなる。それでも踏み跡はしっかり残っているので、苦労は何処にも無い。ときおり杉の枝にたまった雪の塊が、どどーと落ちてくる。そんなものに当たるようでは行く末に不安がある。日ごろの行いが問われる場面である。よって何らの心配も無いのだ。

最後の堰堤を過ぎると雪は一段と深くなり、小川を越える場面では、手や足の痕跡があちこちに残ってなにやら可笑しさが込み上げてくる。川を渡って右岸を登るようになり、あれれ〜踏み跡が少ない、ツボ足では度々踏み抜くようになって、かつ踏み跡も新しい。

踏み抜くと膝上まで沈むので残った踏み跡を忠実に辿ることが大事なのだが、げ、目の前に、左岸に渡り終えた登山者の後姿があるではないか。その先にはトレースはまったく無いのである。追いついて改めてその様子を確認するに、二人ともツボ足で、その歩みは亀の如く、暫く待っても殆ど道は拓けないのである。

おもむろにワカンを装着、先頭を志願して雪の斜面に取り付いた。雪は1m〜2m程度、急斜面ではもがくが如く、四つんばいになって漸く数十メートルを稼いだのである。ここで最初に雪面に取り付いていた若者が戻っていくのが目に入った。ラッセルはそれなりの頭数が必要だ。

どうにか小女郎峠の直下まで、樹木のない尾根の雪面が見えている。ここからが大変で、深くえぐれた夏道は、こげどもこげども遅々として進まず、ルートを変えても深い雪面でただ泳ぐのみ。時間は14時を過ぎてしまった。

ここでまたご一緒した男性がリタイアを表明し、空しく峠を見上げたのである。深い谷底でもあり、雪は恐らく3mほどもあったであろう。失ったエネルギーをパンで補給、左岸の雪の少ない斜面を進めば1時間もあれば峠まで行き着けるだろうが、怪しい空からは雪が落ちる。

そんな訳で、あっけなく落伍者となったのである。ともあれ、溶けた雪が凍りつかない内に下山したのは、やはり君子の道と云えるであろう。JAFを待つ車があった処には、タイヤを空転させた凍った雪の固まりも、綺麗さっぱり消えていた。



CGI-design