■ 比良・大津ワンゲル道〜釈迦岳〜八雲ヶ原
・・・・2010年12月19日
2010.12.19

気温4度、湖にはガスが掛かって視界は殆ど無い。琵琶湖バレーに続く稜線辺りは僅かに白いものが見える。イン谷口、とはいっても建物は綺麗さっぱり撤去された後なので、正確にはイン谷口跡、と云わなければならない、跡地を右に曲がったワンゲル道傍の駐車場に、早い車が3台、用意の間に更に1台。

暗い登山道も流石に今では明かりが射す、雲の切れ目から差し込む日差しが今日はほんとに暖かく、青ガレや岳道を思えば余所見もできる歩きやすい道である。残念なことには下界の騒音が鮮明に聞こえてくるので、深山の感じが今ひとつ。

砦状の跡地の手前で、政治について語るご婦人お二人と遭遇した。「政治の勉強さえしたことも無く・・」など、聞けば無理からぬ論評である。調子よく歩いてきたお陰で、やっぱり汗は滝のように流れる、気温は8度。

「これより難路」の立て看板があったのだが、青ガレと比べると非常に安全な道だと云えそうだ。ヤケオ山が見え出すと雪が出てきた。僅かに地表を覆う程度なので、歩行に差し障りはない。ややソールの減った登山靴でも殆ど滑らない。ルリビタキが目の前の梢で小さな声で囁いている。

歩くと付いて来る様にも見えるので、「ここまできたらえさやるぞ。下界に降りたらえさやるぞ」と声をかけてみたが、もとよりついて来る筈も無く、しかし、今年の山には餌となる木の実は殆ど無い筈なのだ。

イチョウガレに差し掛かった。6月よりやや背が伸びたような、そんな筈はないので、落葉によって良く見えるようになったのだ。あってほしい位置に格好の木の根がある、登りやすいガレである。ガレを登るとまた少し雪が増え、釈迦岳の下まで来ると、気持ちの良い綺麗な雪面に日差しが溢れてキラキラ輝く。

ザックを降ろして暫く休息、風もない雪面には往復分の踏み跡が僅かにある。ピークから先には今日の踏み跡はまったく無い。誰も踏まないカラ岳への道、ガリバー旅行村方面の上空には厚いガスが掛かっていた。

カラ岳の下からは真新しい踏み跡が二つ加わり、やっぱり電波塔の端から武奈ヶ岳を眺めたらしい。北比良峠の手前で射程に捕らえた、かなり大きなザックを背負う二人である。峠から琵琶湖はまったく見えないが、北の空は真っ青で、降り注ぐ日差しで暑い程である。

緩やかな傾斜を八雲ガ原に向かって下降、ロッジ跡では池の氷と戯れる数名のおじ様、伯母様たちがいた。たったままラーメンを啜るおじ様も。池の氷はかなり強力なやつで、ストックで叩いてもびくともしない。足で踏んだらどうだろう?、などとバカな事はしないのだ。

八雲ガ原の暖かさに慣れたら、金糞峠までの川面を吹く風が冷たい。颯爽と峠に向かう、見た目は若者、顔を見たらやっぱりおじ様、の速度は目を見張るものがあった。峠からの下りはやっぱり歩きづらい。こけたら痛そうだし余所見もできない。前方下からは元気な声が響くのだが、距離は少しも縮まらない。

岳道出会い辺りで前方に二人の男性を見た。琵琶湖は静かに凪いで、青空に一点の翳りもなく、犬と散歩する人も二組ほど。この時期にはなかなか望めない一日であった。



CGI-design