朝方までは雨、少々の雨ならそれもよかろう。激しく降る雨なら傘では持たない。その時は潔く、辺りの散策で帰るのも良い。行き先は柏原、高見城山は近頃のお気に入りのひとつ、標高差350ほどの露岩のコースだ。丹波悠遊の森の第三駐車場に車はない。狭い空は暗く、風はそよとも吹かず、湿度は100%、他にいたとしたら変人の類である。
お泊りの方々が数組ほどはあるらしい。雨の最中のコテージ泊はどんなものだろう。季節がら、シトシト降る雨のホタルは詩情もある。土砂降りで、湿り気を帯びた燐光では、当のホタルも気合が入るまい。帰り仕度の方々を観察しつつ、一方で、変人への一瞥を受け流しつつ、登山口まで歩いて汗になった。濡れた枯葉の階段に、かなり大きいクワガタムシがいた。この兜の形はヒラタクワガタに違い無く、あまり珍しい方ではないのかも知れない。お泊りの子供にやれば喜ぶだろう。路傍の藪に放免してやった。
濡れた山道を歩いて尾根に乗った。汗は調子良く流れて落ちる。登るに伴い、細やかながら風があって涼しい。水の流れる岩の道に生じた苔、よく滑るので危ない。藪を踏むと、一斉に雫が落ちる。加えて蜘蛛の巣が厄介。時に、薄いガスなどが出て、雨かも、と見ていた空に青空が覗いた。やれ嬉しや、と喜ぶ傍から昇る気温。愈々汗まみれ。有難いのも半分である。慎重に歩き、どうやら井戸跡に辿り着き、改めて、言い伝えなどを読ませて貰った。
「7、8枚の金塊」だったか、当時の金は粒であった筈で、何枚などとよべる金は、大判の他に無い、と思う。そのようななものが埋まっているとしたら、今の価値で、、直ぐ傍に大きな枯木が倒れてきた。むむ、欲を戒める神の啓示と心得よう。近頃この手の事象が多い。事故の前に大いに反省。反省して、小さな祠の立つ山頂下に到着。ここまでの道には僅かながらも整備の痕跡があった。残念ながら、ピークの展望は良くない。灌木ばかりであるところを見ると、嘗ては周辺全てへの展望があった事が分かる。
南側へ降るルートは灌木に飲まれてしまった。ハイカーが力任せにへし折った跡が鮮明に残っている。冬場は綺麗な尾根道も、葉を伸ばす植物に覆われたところもある。これより先は大下り、石戸山への登り返しの待つ辺りだ。時に覗くお日様が何とも暑い。木陰でエネルギー補給の後はピストンで帰ろう。但し、高見城山ピークの巻道を辿り、落ちさえしなければ随分と楽ができる。とは言いながら、滑る岩の道は急ぐ事もできず、慎重な歩みで戻った下界はとても暑かった。 |