■ 中央アルプス・富士見台高原
・・・・2026年05月30日
2026.5.31

神坂峠から尋ねるお山は恵那山、日本100名山ではあるが眺望が無いと聞くし、平坦で樹林に覆われたピークを見ても展望を期待できる山ではない。しかしその北隣にあるちょっと標高の低い富士見台高原の眺望は素晴らしいようだ。じゃ、二つ行けば良いじゃん!、とお気楽に言えたのは、神坂峠まで続く道路があるのだ。

神坂峠は恵那山・富士見台への登山ルートの一つ。何故に「神坂峠」か、と調べたところ、条理制で制定された東国への道でも最難関の峠道、標高は1500を超え、当時の道、東山道は、ほぼ直線で作った道であったそうだから、今の道路行政からみても相当に無茶、やっと辿り着いた峠は神さびた地であった、と言う事ではなかろうか。

恵那山トンネル、これは現代に出現した東山道、ジェットファンの設置については幾らか関与した事実がある、にぽっかり空いた採光窓のような出入り口が園原IC、ここを出て、厳しい斜面を暫く走ると神坂神社、ここから登山道を辿ると富士見台高原、神社前の駐車場は満車状態。細い道をなおも走って、へ?、この先行止りの看板、降りて見ると舗装の切れたダート道は続いている。どうも峠まで無事に走行出来そうに無い。どこらで間違ったものやら。

間違ったものはしかた無い。神社裏に続くルートを歩いて富士見台に行こう。時間が許せば恵那山も、な事はありそうにないが、神社前の看板の「古の東山道を辿る」と云う文言は大変気に入った。そもそも間違いの始まりであるこの神社と峠の関係は知らない。知らないまでも、車を降りたかよわい女性二人が見学する神社は相当に古い。かよわい女性二人の服装は無防備、そろそろ凶暴になる時期を迎える山ビルへの配慮も無用であろう。

歩き始めた古の道は良くできた道であった。急勾配の山腹に続くジグザグの道で、快晴の陽射しが植林を透かして足元に届き、風化花崗岩の欠片がキラキラ光る。山頂から北側はかのフォッサマグナの影響で流紋岩だがここら辺は花崗岩でできている。時々熊の出没があるようで、東国の猛々しい熊対策にはストックを用意している。前後に人影は無くとも今日の入山者は多い。熊の心配も無い。

カラマツの林に変わる頃から斜度が緩み、林の先が明るくなった。光り輝く光景の先には風にそよぐダケカンバの煌き。あ〜桃源郷、と思わず呟きたくなる様な風景。今日の快晴を以っての事だが素晴らしい。ここで登山道は二つに分かれ、一つは神社に続く別ルートで「ブナコース」と云う山腹コース、長いが傾斜が緩いと云う。歩いたコースは「急傾斜コース」との事だが随分楽なコースであった。谷の巻道を歩くと立派な山小屋に続く。

山小屋の前に並ぶ駐車車両、ここではっと、間違いに気付いた。そうなのだ、神社ではなく恵那山に向かってこそ神坂峠が待っているのだ。しかし、いざこうなってみると、眼前の車列を見るに付け戦闘意欲が抜けて行く。いかん!、車は車の、ハイクはハイクの経験知があり、双方同時の体験は無い。分かってはいても気力が、ここで気力充実のため、木のテラスでエネルギー補給。風は冷たく12℃である。

エネルギー補給で戦闘を再開、眼前の肩に向かって整備された歩道を歩く。周囲全て風にそよぐ笹原。肩に登ると巨大な恵那山が全容を見せた。何と云う質量。東には鋭峰を列べた南アルプスが見え、北には御嶽・乗鞍、惜しむらくは午後の霞、午前中ならもっと綺麗に見えただろう。一際高いピークへ向けてムチを入れ、着いた富士見台ピークからの眺望が素晴らしい。背後は巨大な恵那山、西から、雪を戴く白山連峰、御嶽・乗鞍・穂高連峰・中央アルプス・八ヶ岳連峰・南アルプス、因みに、富士見台ではあるが富士山は見えないそうで、それらしい影も無い。

暫くはこの景色を眺め、地表に張り付いた中津川の街並を見下ろし、そうした事の始終を支えていたのは恵那山であった。富士見台周辺の笹原の尾根も辿ってみたいし、恵那山に続く笹原の道も辿ってみたい。果たしてそんな日があるかどうか。それにしても、小屋から分岐までの石の道は歩き辛い。地理院地図では流紋岩だが、凝灰角礫岩のような石であった。


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