.今年の梅雨は涼しくて快適だった。傘は相変わらす好きになれないが、シトシト降る雨は濡れて行くのが何よりの魅力。そう思い続けて幾星霜、昨年などは、梅雨入り直後の梅雨明けで、雨の季節はほぼなかった。比べて今年は久しぶりの本格梅雨。その梅雨明け直後の丸山湿原、台風9号の尻尾のお陰で青空はなし、日差しはないのに高温・高湿度、気温は20℃ばかりでとても暑い。
8時前の駐車地に車はない。山裾の緑は鮮やかで、小さいながら花園がある。湿原へのルートは泥濘の道だ。例年、芽を出しては食べられる運命のツチアケビは、今日は未だ健在で花盛り。秋には膨らみ実となる予定だが、結実を待たずに鹿に食べられるサダメの植物だ。囲いを作られた人の思いは今年も夢と消えるサダメである。何とかしてやりたい気持を引き摺りながら、湿原へ行こう。
背の低いおじいさんの帰還に遭遇、しかし期待した蜘蛛の巣の除去は概ね済んでいない。高湿度の谷を抜けると朝もやの残る丸山湿原、ほぼ無風だが幾らか涼しさも感じられる。この時期のお目当ては云わずと知れたカキランとトキソウ、ミミカキクサなど小さな花はその他としておこう。そう云えば、三草山のイシモチソウはどうしたろう?、今年も花を咲かせているだろうか。
イシモチソウは置いといて、今年のカキランの様子を見たところ、小さな株が3つ、大きく育ったものはない。ピンク色のトキソウは見渡す限りどこにもない。今年に限れば、今のところは順調な季節の推移、それでこの様子では、愈々住処を替える相談が纏まったのか、または後を絶たない不埒な悪行があるのか。昨年、多数のトキソウを見たエリアでさえ同様だ。さて、影を慕って歩く道程は朝露と野ばらの道で、野ばらなどにかかわると痛い目に遭うし、朝露で濡れた薄いズボンも乾かしたい。
湿地の様子を伺った後は、羽束川目指して「太陽と緑の道」を突き進む。太陽の無い曇天ながら日差しが暑い。気温はやはり21℃くらいで、そうであれば熱源はやはり日差し。目の前に大岩ヶ岳を見る小高いザレ場の松の木陰、辺りはシルト層の丘ながら、そよ風程度に吹かれて見る眺めもなかなかによろしい。低いながら、連綿と続く山並の様子は清々しい。この後の行程への励みにはなった。
丘を降り、藪に続く道を歩いて羽束川分岐、慣れてきた道を進むと藪が酷い。辿る人が無いのか、シダとササの藪が続いている。そうでなくともこの先の藪は凄かった。強引に進み、けっこう多いマダニの来襲を受ける用意は今日は無い。今のところ、熊より怖いダニである。残念ながら、行程半ばでの予定を組みながら、このコースは諦めよう。諦めると、残るルートは大岩ヶ岳。このルートは大岩ヶ岳に通じている。
暗い樹下を歩き、千苅ダムの見える辺りでコースを右へ。短いながら、厳しい登りの果ての大岩ヶ岳山頂。眺めは良いが暑いのである。木陰の下はやはり涼しく眺めは二の次。風に吹かれて腰掛ける事暫し、鈴の音を伴い単独男性が到着した。それなりに時間を消化したのでさあ降ろう。見る事の少なくなった藪蚊が、顔の周りを飛び回るのもあと少しの事だ。 |