■ 播磨・段ヶ峰
・・・・2025年11月22日
2025.11.24

夏には山ビルの出現に尻尾を巻いて逃げ出したルートだが、近頃の熊のニュースを聞く度に胸に蟠る思いがある。熊の出没には多様な訳があるだろう、が恐れ慌てて閉じ籠もるだけでは、恐れる熊を期待出来る訳が無い。山ビルに対する態度も同様だ。たとえ血の数滴を与えたとしても、毅然とした態度でお引取りを願うのが望ましい。今日もし出会う様な事があるならそうしよう。

先行される方々が車5台分、コナラの林もすっかり葉を落として見通しが良い。尾根に乗ったところで高度差300mを越える斜面。見通しが良いので、次第に遠ざかるゴルフ場などを見下し、気散じになるかと云うとそうでもない。秋らしい、葉を落とした枝の赤い実を啄むコガラはとても可愛い。しかし斜面を登る脚の負担が減る訳では無く、しかたがないので立ち止まって汗を拭く。風はとても冷たい。上の方から先行者の話し声が聞こえる。

斜度が緩むと達磨ヶ峰の肩、ここで歩みを止めると後が辛い。背を越えるススキの中にリンドウが咲く。開いた花は一つ、蕾は多い。漢字で書くと「竜胆」、葉が苦いところで着いた名とある。不思議な事に、この後で見たものは全て花一つだけ開いていた。人の知らない符丁があるのだ。登山道に寝そべるヒョウモンチョウはそうした秘密を知っている。踏まれる恐れがあるからススキの中に移動して貰った。

達磨ヶ峰から暫くは快適な尾根ルート。盛りを過ぎた紅葉も綺麗だが、ものの哀れを感じる儚さがある。何れは地に落ちて色を失い降り積もる。その落葉から覗く赤いドングリを手に取ると、それらは全て根を伸ばし始めた子孫達であった。やがて大きな栗の林に差し掛かり、朽木を肌色に彩るものは何だ?。あちこちの朽木に出たナメコ。既に登山者のザックに収まりお土産になったものもある。栗の木の枯れた訳は知らないが、随分星霜を経た木で間違い無い。

折角稼いだ高度を惜しげもなく下げて最低鞍部、ここからの登り返しも辛い。ちょっと剽軽そうで身の軽い女性が追い越していった。遅ればせながら辿り着いたフトウガ峰、背の低い灌木と千島笹の大地、関西らしく無い高層大地だ。先の女性は目の前の岩に登って自撮り写真。この後走って追い越して行った。

さて、残すところは谷を隔てた先の少ピーク。高度差は少ないながら距離はある。やや高度を下げた山腹は燃えている。千島笹の尾根を歩いて段ヶ峰着、風は幾らか冷たいながら、晴れて天気のこんな日にハイカーが四人、お二人は去った後で寂しいピークだ。これにはやはり熊騒動が寄与しているとみて間違い無い。まあ良かろう、汗が冷えるとピークは寒い、峠まで降ってお昼にしよう。

千町峠の、営業状態の不明であった喫茶店(?)は遂に閉鎖、開いている板張の庭の陽だまりでエネルギー補給、後続の男性もご一緒である。この後は林道を凡そ7km、2時間半歩いて周回を完了した。残念な事に、谷の紅葉は盛りだが午後の陽光はほぼ無し。ただ寒いだけの林道であった。山ビルとの遭遇も無し。


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