予報では、猛暑日とか30℃超えとか、恐ろしげなお話を盛んに流す。不正確な情報は言わずもがなだが正確なら幾らも流してよいとも思えない。少しくらい、空を見て陽射しと相談するくらいの余地は残して欲しい。いつもの駐車地に車を止めると目の前の女竹の藪に分け入る方がある。タケノコ狩りでもなさそうだし、声を掛けてもタケノコのおすそ分けは無さそうなお顔。トレランスタイルの男性二人は車の影で人待ち顔。水の入った水田を見ながら日向の中を登山口まで1‥5キロ。日向は流石に暑いが五十嵐の役は声だけにしておこう。(朝ドラを熟知される方向け)。
陽射しの下を暫く歩くと杉の木立で涼しくなる。この時期の木陰の風はまだまだ涼しい。林道の脇ではお茶の新芽が伸びて、夏も近付く88夜は今頃ではないだろうか。摘む人の無さそうなお茶畑?だが、周回コースの出口付近に現役の畑もあった筈だ。気持の良い谷川の流れの中に、小さな魚の影がある。鮎や鱒でないことは間違いなく、アブラハヤくらいが相当だと思う。橋の上で魚の影を探す間に、3人になったトレランチームが追越して行く。
さてと、お茶も見たしお魚も見たし、お次の楽しみはもっと先。登山口を過ぎ谷道を歩き、樹林の中の崖の下に穿たれた穴、古い銀鉱山の跡こそが次の興味の対象である。大きめの岩の流れる崖下に、よく見なくとも目に入る程度の黒い穴。これが見えなかった過去は節穴と云われても止む終えない。秘密どころか白日の元に開いた穴だ。覗き込むとポチャ〜ン、妖しい水音がして足が止まる。泥濘が暗闇の中に続いている。脆そうな岩が落ちると危険である。鉱山跡の探検は性に合わない事が判明した。
山歩きに復帰直後にソロの男性が行った。後を追う形で急斜面に続くルートを額に汗して登る。150も登ると尾根に抜け、斜度は緩むし風も起こる。お〜真っ黒な小枝、と観察しようと覗き込むと少し動いた。ぎょっ、よく見たところ、黒化したシマヘビであった。驚かせてくれる。岩稜地帯の入口のベンチは先の3人が占拠中、やむなく少し先の岩尾根で一服、ここは灌木の下で風もあり涼しい。休息中に先の3人が行く。が、最後の方にはお疲れが見え、お世辞にも体形は良くない。
はたして、先の方でガヤガヤが始まった。先には唯一の岩登り区間がある。心地良い風が吹くと鳥の声もよく聞こえる。梢の上の方で囀るホオジロは元気、ツツドリはいつも鄙びた雰囲気を連れて来る、はずなのに今日はどうも乱暴だ。どうやら縄張り争いの最中らしい。ツツドリの一面を発見した。縄張り争いも一件落着した様子、腰を上げ岩登り区間に差し掛かったところで若者が降りて来る。怖いので止めるという。岩場を水平に巻いたら抜けるよ、とアドバイスを与えて岩登り。若者が抜けて来るだろう岩場を見ると長めの崖、ありゃ〜、斜上すれば楽なんだが。振り返ると、空に突き出た岩の上に覗く若者の顔。これで彼にも自信が着いた。良かった良かった。
焼けたピークは暑い。焼石の上に座る若者の顔を流れる汗。余韻に浸る若者を置き、北に降って水山に登る。ここは樹林の下で、気温は15℃、ザックを下ろして汗を乾かす場所である。残念ながら、北東の展望しか得られない。がこの限られた展望こそが休息に適している。休んでいると、先の若者が登って来て、ゆっくり降って行った。今日の白髪山は、記憶に残る山になったろう。 |